8時間にも及ぶ諮問会議は厳しい結果に終わりました。残念ですが、ブレインストーム社の幹細胞治療 NurOwnのFDA認可は非現実的なものとなりました。
最終的に次の質問:”Do the data presented demonstrated substantial evidence of effectiveness for treating mild to moderate ALS?”(これまで提示されたデータは軽度から中等度のALS患者への治療の有効性を示す重要な証拠と判断できますか?)に対し、19人のメンバーが投票し、Noが17人、Yesが1人、棄権1人という結果でした。
今回は19人ものコミッティメンバーがおり、過去に例を見ないメンバー数でした。また患者証言も投票前の最後ではなく中盤に設定され、こういった部分が今回FDAが強固な体制で臨んだ意思があったことを感じさせます。また、過去の諮問会議はオーディオだけで(音声だけで)したが、今回は参加者の顔が見え、臨場感もあり、状況がより良くわかるものでした。
下記のYouTubeで全て会議の内容が確認できます。会議開始後3時間43分頃から実際に同治療治験、EAPを経験した患者がNurOwn治療の効果を証言し、NurOwnの迅速認可の必要性を訴えます。この部分だけでも見る価値があります。同病者が頑張っている姿が見え、共感できます。
全体的な流れを見ると、FDAが指摘するポイントは隙をみせない分析結果と見解で説得力がありました。バイオマーカー分析への懸念点、バイオマーカーと臨床上のベネフィットの関連性が不明瞭、そもそも同治療のメカニズムについての説明が十分でない、といった指摘も印象に残りました。これではコミッティメンバーも賛成票を入れるのは難しいだろうと投票前に分かるものでした。残念な結果となりましたが、申請者であるブレインストーム社のプレゼン、当局FDA専門家メンバーらによる評価や議論、患者や患者団体含む外部の参加者の声、世界中の関心のある方々がリアルタイムで同会議を見守る状況は凄いものがあります。これだけ大勢の人々が新薬の必要性を理解し、情熱を注いでいるのです。この会議は非常に透明性があり、多大に評価できるものです。日本の厚労省、AMED(日本医療研究開発機構)は見習うべきです。患者からしても、たとえ認可に繋がらなくても、これだけ多くの専門家と政府が動いていることを見れば安心するものです。次に繋がるとも思えるからです。日本は相変わらず不透明です。
さてこれまで多くの期待を集めてきたブレインストーム社のNurOwnですが、再起不能と思いきや、今回の指摘を受け、来年前半に第4相の治験を開始するとの発言もありましたが、株価も暴落し、単独で今後進めるのは僕は得策だとは思いません。どこか製薬会社と提携する等のやり方が望ましいと考えます。
一つ腑に落ちないのは、NurOwn治療を経験した患者たちの証言です。歩けなかったのに歩けるようになった。喋れるようになった、等々、こういった証言はラジカットや、リルゾールから聞ける証言ではなりません。単なるプラセボ効果ではないか?というレベルを超えたものです。もしかしたら単に効く人と効かない人がおり、そもそもプラセボグループとの比較をする従来の治験方法では評価できないのではないか等と考えざるを得ません。だとしたら、治験結果の判断にはそういったディスカウントが必要なのかもしれないと考えてしまいます。もしくはどういった患者に効果があるのかを調査することが必要なのではないでしょうか、と自然に考えてしまう次第です。
結論ですが、引き続き新薬開発はアメリカに期待します。日本政府には他の先進国と同様、早急にEAPの導入を求めます。
以上です、
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