当方の7月16日のブログでも書かせていただいていましたが、アメリカではALSに特化した治験プログラムがあります(2020年開発)。今回調べて学んだことを共有させていただきます。一方で厚労省や、研究者の目に留まればいいなとも考えますが、そういう媒体ではないので難しいでしょう。長々と研究に時間をかけ、論文に励んでいる日本の研究者や、厚労省にも参考にしていただきたいです。

 

アメリカでは昨年末のバイデン大統領が成立させたALS法(ALS ACT  H.R 3537)以前から、従来の薬品開発のプロセスはALSへの新薬開発には不合理だという問題が研究者の間で共通の理解として浸透し、それを背景にマサチューセッツ総合病院、Healeyセンターが、ALS新薬開発に特化した治験プラットフォーム、Healey ALS Platform(ヒーリーALS治験)を開発し、FDAもそれを承認しました。なぜ不合理か?この紹介ビデオにもあるとおり、ALS doesn’t wait (ALSは待ってくれない)というのが理由です。

 

ヒーリーALS治験紹介ビデオ:

 

ヒーリーALS治験プラットフォームは、一度に3つの薬品候補を試験することで、ALS 治療薬開発への道を加速し、研究コストを30%削減、治験時間を50%短縮、参加できる患者数を67% 増加させることを目標に設計されています。いろいろ文献を調べるとこれは過去にがんの治療薬開発にも同様の治験手法がとられたことがあり、それを参考にしているという情報もありました。EAPとも連動し、従来治験に参加できなかった患者(治験参加資格から外れる、除外される)も多く参加できるようになっています。

 

(治験期間半分、コスト1/3、プラセボ縮小)

 

最近の状況も調べましたが、既に3つの新薬候補が同時進行で進められています。480人くらいの患者が参加しているようです。マサチューセッツ総合病院のほか全米50の大学病院で治験を受けれる体制になっています。

 

7月16日に紹介させていただいたナノ合金もその3つのうちの一つです(ナノ合金は3番目)。1個目の薬品候補は既にNGとの結果が判り、現在4個目も加っているようです。ナノ合金の治験結果はもうすぐ発表されるはずです。

 

このようにアメリカでは候補治療薬の治験状況が事前に一般にも公開されており、いつ結果がでるか、といった情報が誰にでも分かるようになっています。対して日本は一体何が進んでいるのか、もしくは何も進んでないのかも不明な状況です。ダメだったらだめで明らかにし、次に進めるアメリカとは大違いです。前々回書かせていただいたロピニロールの問題と同じですが、日本は不透明です。

 

 

冒頭のヒーリー治験の紹介ビデオには、

 

ALS does not wait, Neither can we.

ALSは待ってくれない、我々も待てない。

 

とあり、これはどういうことかというと、「ALS新薬開発には従来の方法は適さない」、「現患者を救わなければいけない」という意味になります。

 

 

まとめると、

  • アメリカにはALS新薬開発に特化した治験が2020年から存在します。ALSは待ってくれないので、時間を短縮して治療薬開発を達成する、というのが背景です。
  • 時間短縮、コスト削減、参加者を増やし、プラセボも少なくなります。
  • どの治験が進んでおり、結果がいつわかるか誰でもわかるようになっています。

 

結論です、

 

1、日本の研究者たちや、厚労省は、なぜこういったアメリカのやりかたを参考にし、新薬開発を急いでくれないのでしょうか?長々と研究のための研究をする方が楽なのでしょうか?多分日本の研究者たちの多くはサラリーマン気質なのでしょう。毎月180人のALS患者が亡くなっている状況を理解しているのでしょうか?

 

2、仮に日本でヒーリー治験のような取り組みがすぐ出来ないとしても、例えば京大のボスチニブもアメリカに頼んで、ヒーリープラットフォームで治験をしていただいた方が早いのではないでしょうか?現患者のことを考える気持ちがあれば、わたしだったらそういう選択肢を考えます。

 

3、EAPも導入を検討すべきです。日本にもEAPがあれば、SOD1型の方はトフェルセンだって日本で試せるのです。バイオジェン(トフェルセンの製薬会社)もその為の制度を提供しており、日本以外の12ヶ国で既に展開されています。

 

4、特例承認も即行うべきです。アメリカのALS法の恩恵を受け、アメリカで既に処方が開始されている田辺三菱のラジカット経口薬も、日本で何故待たせるのでしょうか?私はラジカット治療をしていませんが、他の方のブログをみてもわかるとおり、多くの方が点滴治療をされています。なぜ経口薬を提供し、QOLを向上させてあげようと考えないのでしょうか?日本ALS協会も何故なにもしないのでしょうか?エーザイの大量メコバラミンだって早く承認すればいいのです。今週米国で認可されるAMX0035も同様です。

 

5,アメリカの国土は日本の25倍ですが、アメリカでは50もの大学病院がこのヒーリー治験で連携しています。日本はなぜ小さい国土であるにもかかわらず、連携に乏しいのでしょうか?

 

 

 

以上です、

 

 

目を通したウェブ記事、および参考文献のリンク:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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