こんにちは、伝え人のブライトンです。
出版業界に入って、最初に教わったことの一つに「編集者は、時計と財布の管理ができて一人前」があります。
残念ながら、締切通りに原稿を書いてくる人は少なく、遅れてくるのが大半です。そこで、著者の性格や過去の実績をみて、その人ごとに対応を変えていきます。
例えば、Aさんは「一度ぐらいの催促では全然出してこないので、3回催促してちょうど締切になるように計画を立て、スケジュールに沿って催促していく」とか。
原稿が入ったら、レイアウトや校正でのやりとり、印刷・製本のスケジュールなどを調整し、それに合わせて、販促の準備も同時並行で行っていきます。本が完成し、店頭に並んでから1週間後ぐらいに広告が出るように調整するなど、時計の管理が非常に重要なのです。
そして、もう一つが財布の管理。いくらでも使っていいから、自分が作りたいものを作っていいという状況は稀です(というか、私はそんな思いをしたことがありません)。
限られた予算の中で、いかに工夫し、最高のものに仕上げていくか。これは制作側の視点ですが、作った本が赤字にならないか。きちんと利益を出せるか。そんなことまで視野にいれながら、自分が作りたいものとバランスを取ることに日々、葛藤しています。
とはいえ「お金も時間も制限がなく、好きなようにやっていいよ」と言われて、最高のものができるのかといえば、必ずしもそうとは限りません。一定の制約があった方が、いいものができたりするんですよね。
自由って、簡単なようでいて、なかなか難しいものです。時計と財布で、自分を律すること。その選択ができることも含めて、「自由」と言えるのかもしれません。そして、それが出来た時、一人前と言えるのでしょう。