おはようございます!
明るい日本男児です。
連載している『妻さん発症時の話』ですが、一旦今回をもってこのシリーズは完結します。
この後としては『妻さん入院時の話』や『妻さんとの結婚1年目の話』(仮)なども徐々に書けたらと思うので、
また気が向いたら見てやってください。
もしコメントとかいいね!とかしていただけると大変励みになりますので、よろしければそちらも是非お待ちしています。
ちなみに今でこそ「しあわせ夫婦」ではありますが、結婚1年目はホンマに大変でした。
「僕ら結婚してから夫婦仲が良くて一度も喧嘩したことないんですよ~。」って言う人がたまにいらっしゃいますが…。
本当に尊敬します。
さて、前置きはこのくらいにして前回の続きを。
手術が無事に終わり、疲労で家に帰るなりバタンと布団で寝てしまったその後ですね。
↓前回はこちらから。
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手術が終わった翌日。
私は自分の部屋のベッドで目覚めるなり、今日すべきことについて早速頭を働かせていました。
手術は終わったものの、前の日の朝に着の身着のままで救急車に乗り、妻さんの部屋は布団もしきっぱなし、
着替えや嘔吐処理で使用した道具もそのままにしていたので、まずは片づけからと考えていました。
妻さんの両親は昨日の時点で他県の妻さん実家へ帰ってしまっていたので、念のため自分が後片付けをしてもよいか妻さん母にラインをしたところ、「是非お願いしたい」とのこと。
同棲している訳でもない彼氏の身分である私が後片付けをひとりでするのに不思議な感覚を抱きつつ、マンションへ向かう準備。
午後からはICUに入っている妻さんの面会予定でした。
時間的猶予はそこまでありません。
少し急ぎ気味でシャワーを浴び終わり、朝食を食べ、妻さんのマンションへ到着しました。
土曜日ということもあり、大通りに面したマンションとはいえ人通りは少なく、そこにはいつも通りの光景が広がっていました。
入り慣れたオートロックの玄関扉、道路から時折聞こえる車の音、スイッチを押すと待ってましたと言わんばかりに扉を開けて私を迎え入れてくれるエレベーター。
本当にいつもと変わらないです。
妻さんが家で私を待っていることを除いては。
とりあえず家について色々すべきことをする前に、私は自分の持っているiphoneのカメラを起動し、自撮りで妻さんに向けて動画のメッセージを撮りました。
「今からこの部屋を片付けます。昼には会いに行くから待っててね~。」みたいなことを言いました。もちろん笑顔で。
私は普段自撮りとかは一切しない人種なのですが、そのときは記録に残したかったんですね。
あとで見返して思ったのですが、動画の私は非常に私はやつれているというか、痩せており、人間は精神的疲労を感じると1日だけでもここまで顔に出るのかと驚きました。
その後は、失禁して濡れていた布団を干したり、汚物処理に使った道具をまとめゴミを出したりとあらかたの用事を終え、私は妻さんのいないベッドの上に座っていました。
気が付けば面会予定時間まであと少し。
私は妻さんが入院している病院へ向かいます。
特に行くタイミングなどは妻さん両親とは打ち合わせていなかったので、自由に行く感じです。
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病院へ着くと、面会の受付でまた自分のことを記載する紙が渡されるのですが、「ご家族の方ですか?」と聞かれたので、「彼氏です。」と答えます。
「またか…。早く”家族”って言いたいな。」とため息が出ました。
「彼氏です。」と答えるのは間違ってもいないし、罪悪感を感じるものでもないのに、何故か自分は家族ではないと主張しているような気がしてさみしい気持ちになったんです。
8年越しの花嫁の尚志(ひさし)さんも当時婚約者だったので、きっと同じような気持ちだったに違いありません。
ともあれ、マスクや消毒をしていざ妻さんの眠っているICUへ。
妻さん母はその日仕事で面会には来れないのと、妻さん父は夕方に来ると事前に情報があったので、今の時間だとふたりきりになれるのでは?と若干期待していた私。
しかし、ICUの扉の前に見たことのある男性の姿が…。
妻さん父でした。
時間を合わせたわけでもないのに、ちょうどタイミングが被ったんですね。
ちなみに私は妻さん父は誕生日が同じなので、これも同じ星座のもとに生まれた所以なのでしょうか。
面識はこれで3度目くらいだったのですが、同じ境遇を乗り越えた者として、特に緊張することもなく、気兼ねすることもありませんでした。
軽く挨拶を交わしてICUの中へ入ります。
そこには…。
目を閉じて眠っている妻さんの姿がありました。
頭には2本の管が通され、白いネットのような帽子をかぶり、顔のところにはいたるところにガーゼが貼ってあります。
ベッドのそばには妻さんの心拍や血圧?を伝える波形や数字を表示する機械もありました。
笑顔で迎えてくださった担当の看護師さんが「今は眠っています。」と説明してくださいました。
一見すると耐えがたく痛々しい姿かもしれません。
これから先どうなっていくのか、後遺症などは出るのかなど先行きはいまだ不透明で、目をつぶってしまえば真っ暗になって光を失ってしまうかもしれない。
でも、私は妻さんを見た最初の気持ちは「生きていてくれてありがとう。」でした。
それ以上先のことは考えられません。
気が付けば、また涙が私の頬を伝っていました。
妻さん父もおそらく同じ気持ちだったのでしょう。
近くにある格子椅子に腰かけ動かずにじっと妻さんの顔を見ていました。
先生の話によると今日は土曜日で、一旦月曜までの2日間はこのまま起こさずに様子を見つつ、月曜日に薬で刺激して起こす予定とのこと。
だから今日は1日顔を見るだけとなります。
私は妻さんの近くに駆け寄り、「これからも一緒にいるからね。安心してね。」と耳元で伝えました。
すると妻さんは意識がないにもかかわらず、私の声に反応して私の手を握ろうとしたり、私の顔を触ろうとしたりするのです。
何か言葉にならない言葉を発しながら。
看護師さん曰く、「あら、珍しいですね。どんなことをしても起きないのに。」と。
意識はないながらも私に返事をしてくれていたのかもしれません。
そうして少し過ごした後、妻さん父と病院を後にしました。
駅前で妻さん父と別れたあと、再び一人で帰路につきます。
色々なことを考えます。
これからのこと、自分のこと、病気のこと、後遺症のこと…。
自転車に乗りながら、初夏の温度を感じつつ。
しかし、私の胸には夏の暑さとはまた別の温かい気持ちも感じながらまたひとつ自転車を漕ぎ出しました。
◆
妻さん発症時の話 終わり
ここまでご愛読ありがとうございました。
明るい日本男児先生の次回作にご期待ください。
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1/12追記
続編の『妻さん入院時の話』開始!
↓こちらから