SEというお仕事ー参考文献『働き方や組織を変えたいのなら「混乱」をつくろう』 | 宇宙世紀を生き抜く知恵

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救世主は現れないし恐怖の大王も降って来ない。
人類を救うのも破滅に導くのも、それは人間だ。

この宇宙はビッグバンという究極の「揺らぎ」から始まった(という定説)

つまり、情報とは「揺らぎ」である。

フラットな静的世界に何らかの「揺らぎ」が生じなければ情報は発現しないので。

人間の(生物の)活動が「広義の情報処理活動である」と定義するならば、その組織には連続した「揺らぎ」を与えなければ、エントロピーが低下し熱力学的な死に至るという訳であり。

かと言って、その組織の処理能力を超える「揺らぎ」を与えれば熱死してしまうので、その匙加減が難しいところ。

まずは、下記記事に書かれている様な「カワイイ揺らぎ」から始めるべきでしょうね。

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ITmedia ビジネスオンライン
『働き方や組織を変えたいのなら「混乱」をつくろう』
2018年07月18日 07時15分 公開
世羅侑未
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/18/news012.html

 私はプロノイア・グループという会社で、企業の働き方や文化変革に関するコンサルティングの仕事をしています。そうした仕事柄、会社や社員の変革に取り組んでいる人から日々相談を受けます。
 働き方を変えたい、会社の文化を変えたい、マネジャーに変わってほしい……。そう思っていろいろと施策を考えては頑張って取り組んでいるのに、なかなか変わらない。読者の中にもそうした方は多いのではないでしょうか。
 このような悩みに対して、私たちは明確な答えを持っています。私たちの会社の大切な文化の1つとしても掲げています。
 変化を起こしたいなら「魔法」が必要です。その魔法とは、「セカイをとめる魔法」です。……いったい、どういうことでしょうか?
こんなに頑張っているのに、なぜ変わらないのか?
 そもそも、なぜ、こんなに一生懸命に働きかけているのに、うまく変化を作れないのか? そう悩んでいる担当者やリーダーの方から話を聞くと、実は共通した状況が見えてきます。
 例えば、マネジャーの態度を変えたいという要望があります。文句をたくさん言うばかりで受身になっている中間マネジャー(中間管理職)に、もっと責任感をもって自主的に物事を考えるようになってほしい。そのために、人事や経営陣の方が、新しい研修を導入したり、マネジャーに求める資質を再定義して伝えたりと、いろいろとやってみる会社は多いでしょう。
 こうした取り組みの中で、当然、マネジャーから、「なんでこんなに忙しいのに研修に行かなくてはいけないんですか?」と、いつものように受け身の質問が来る。この「いつものパターン」に対して、多くの担当者は、「あぁ、また来たな」と思いながらも、結局いつものように、必死になって質問の答え(=研修が必要である理由)を自ら説明してしまうんです。
 いつものように反抗して、いつものように説明が返ってくる。マネジャーの受け身の態度を変えましょうと言っているはずの担当者の行動が、また「いつものセカイ」を再生産している。実は、この矛盾の構造こそが、変化の扉を永遠に閉ざしています。

「セカイをとめる魔法」とは何か?
 多くの人がお気付きだと思いますが、変化をつくることと、変化を呼び掛けることは違います。前述のように、決まったパターンから外れない「いつものセカイ」の中に自分が居続けながら、変化の重要性だけ呼び掛けても、実際に新しい行動や意識は生まれません。
 変化をつくりたければ、いったん「セカイをとめる」ことが必要なのです。その組織に根付いたセカイ、あるいはマネジャー本人の中に根付いたセカイ。繰り返される思考、繰り返される行動パターン。これを一度とめることこそ、変化をつくるリーダーの最も重要な役目なのです。
 周囲の人を思い浮かべながら、ちょっと考えてみてください。
 社会が驚くような新しい商品や、新しい会社をつくった人が「イノベーター」として雑誌や記事でかっこよく取り上げられますよね。こうした人たちは、ひとたび雑誌に載れば、未来の社会を先読みして導いたヒーローとして、みんなの憧れの的になります。
 でも、このように成果が社会から評価される前に、実際にこうしたイノベーターたちの周りにいた人たちは、彼らのことをどう思っていたでしょうか? 唐突に、これまでと違うことをやり出したり、議論の文脈と外れたことをいきなり言い出したりする変人、意識高いやつ?
 周囲の人は、大混乱ですよね。彼らはヒーローでもなんでもなく、むしろ、ただのめんどくさいやつに思えます。なぜなら、これまでの思考の延長線上では彼らの行動が理解できず、そのたびにいちいち周囲の人たちにとって「セカイがとまる」からです。

実際にどのような混乱を起こしているのか?
 人々を混乱させ、「めんどくさいやつだな」「KYだな」と思われてしまう。そんなことを承知の上で、それでもこの「セカイをとめる魔法」をかけられる人が、本当に変化をつくれる人です。
 その混乱を避けて、綺麗に変化をつくるというシナリオを探す方が多いようですが、それでは変化は起こせません。逆に捉えれば、自らこれまでのセカイを終わらせるような混乱をつくっていく勇気とコツさえ知っていれば、変化の扉をちゃんと開けることができるのです。
 例えば、プロノイア・グループでは、こんな風に企業や人の「セカイをとめる」いたずらをします。
 かっこいいスーツにネクタイをきゅっと締めて出てきた担当者の方々に対し、シャツとジーパンのラフスタイルで訪問する。
 かしこまった顔をして本題から話をしてくれる相手に対し、会議の半分以上を敢えて本題から外れたジョークを言い続ける。
 「私の課題は、柔軟性なんです」というマネジャーの方に、「では、ちょっと今、うさぎの真似をしてみてくれませんか?」と言ってみる。
 決まって社内での地位の高い人から順番に発言していく会議で、最初に若い人を当てる。普段一番喋らない人に、一番重要な問いの答えを求めてみる。
 そうすると、相手の中に「あれっ、何か今日調子狂うなぁ」と混乱が生まれます。いつもの行動パターンが通用しない。
 もちろん、相手にとってそれがあまりに最初から最後まで居心地が悪ければ、もう二度とこの人たちとは会わないと決めて、それで私たちの関係は終わります。でも、自分のセカイがストップされたその後に、「あれ? これってなんだろう?」という建設的な問いが始まれば、それは変化の始まりです。最初は居心地が悪くても、新しいセカイの価値を知ったときには、「なんで、これまでのようなやり方に固執していたんだっけ?」という振り返りにつながるのです。
 セカイをとめる。相手に混乱をつくる。
 そうすることによって、相手の中で「気づき」が生まれるのです。これは特に、これまでに気にもとめたことのなかった、全く新しい価値への気づきです。
 それをプロノイア・グループでは、「インスピレーション」と呼んでいます。
 インスピレーションなしに、変わる、という行為は生まれません。人が変わろうとするには、「何だか面白そう!」と心から思える ”わくわく感” や “ぞくぞく感” が必要なのです。それさえもってしまえば、変化のための研修なんて受けなくとも、人事に指摘されなくとも、本人の好奇心が勝手に変化を導くのです。
 だから、「セカイをとめる」ということは、変化を起こす魔法なのです。
 今のあなたの働きかけは、これまでのセカイを再生産していますか? それとも、セカイをとめて、新しい気づきをつくっていますか?
 本当に変化を起こしたければ、いつものパターンの繰り返しの中で変化を呼び掛けるのではなく、意図的に、既存のパターンを崩していくことにチャレンジするべきです。組織や相手の中に混乱が起きたら、それが変化の入り口です。その混乱を本人たちが解釈をする過程をゆっくりと見守る勇気があなたにあれば、そこからようやく変化は始まっていくのです。
著者プロフィール
世羅侑未(せら ゆみ)
プロノイア・グループ株式会社 コンサルタント
慶應大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員
プロノイア・グループ株式会社にて企業の働き方や文化変革コンサルティングに従事。慶應大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)研究員として個人の創造力、直観力やパフォーマンスが最大化される「フロー状態」の研究を進める。 その他欧米の教育団体Action Inquiry Associationに所属しながら日本の成人教育とのパイプ役となり、東西の知恵を活かした創造性、リーダーシップ、直観の育み方を模索する。共著『The SAGE Handbook of Action Research』(SAGE Publications, USA)では、直観力の鍛え方に関する独自の研究を海外で発信。『行動探求』(英治出版)では欧米発の組織開発手法を和訳で紹介している。
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