独断と偏見の書評~『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』 | 宇宙世紀を生き抜く知恵

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救世主は現れないし恐怖の大王も降って来ない。
人類を救うのも破滅に導くのも、それは人間だ。

『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』

出版社:講談社
発売日:2017/2/15

著者 :中川 毅
1968年、東京都生まれ。1992年、京都大学理学部卒業。1998年、エクス・マルセイユ第三大学(フランス)博士課程修了。Docteur en Sciences(理学博士)。国際日本文化研究センター助手、ニューカッスル大学(英国)教授などを経て、現在は立命館大学古気候学研究センター長。専攻は古気候学、地質年代学。趣味はオリジナル実験機器の発明。主に年縞堆積物の花粉分析を通して、過去の気候変動の「タイミング」と「スピード」を解明することをめざしている。

内容紹介
人類は、たいへんな時代を生きてきた! 驚きの地球気候史
福井県にある風光明媚な三方五湖のひとつ、水月湖に堆積する「年縞」。何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。その水月湖の年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。
人類は誕生してから20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。過去の精密な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめなおします。

○氷期と間氷期が繰り返す中、人類誕生以来、その歴史の大半は氷期だった。
○現代の温暖化予想は100年で最大5℃の上昇だが、今から1万1600年前、わずか数年で7℃にも及ぶ温暖化が起きていた。
○東京がモスクワになるような、今より10℃も気温が低下した寒冷化の時代が繰り返し訪れていた。
○温暖化と寒冷化のあいだで、海面水位は100メートル以上も変動した。
○縄文人はなぜ豊かな暮らしを営めたのか。
○平均気温が毎年激しく変わるほどの異常気象が何百年も続く時代があった。
○農耕が1万年前に始まった本当の理由。

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筆者は冷静に事実を積み重ねて述べてます。

「人類の活動による温暖化は、森林の伐採と農耕を開始した8000年前から始まっており、もしその影響が無ければ地球は既に氷期へ突入している」

氷期と温暖期のどちらが人類の生存に適しているか?と問われれば、明らかに温暖期です。

著者は「温暖化防止は科学ではなく政冶あるいは哲学の問題」と書いてます。

確かに極地の氷が融け、海面が上昇すれば居住が困難になる地域が発生するでしょう。

海流の循環に影響が出るかもしれません

しかし、「人類」という種にとって最も困るのは気温の大幅な上下変動だと思います。

徐々に寒くなる・暑くなるなら種としては十分対応可能でしょう。

「地球が寒冷化に向う時に気温の振幅が激しくなる」という事実からすると、人類の活動が、その変動幅を穏やかにしているのかもしれません。

昨今の「二酸化炭素排出抑制狂想曲」は誰かの陰謀じゃないのか?と思いたくなりますわ。