歯科医院の二極化 | <秘伝> 歯科医院 開業の仕方と、開業してから

<秘伝> 歯科医院 開業の仕方と、開業してから

これから歯科医院を開業する先生、開業して間もない先生に贈る、私なりの医院繁栄のポイントとアイデア集です。
「この業界は不景気だから・・・。」と嘆く前に、やってみましょう~!

最近多くの分野で二極化が指摘されていますが、歯科医の収入においても例外では無いようです。

多くのこれから開業をお考えの先生にとって、何となくは周囲の先生の会話や風の噂、各種メディアの記事等で見聞きしてはいるものの、現実的にはあまりにも実感が湧きにくいのではないかと思います。


また、歯科開業医の平均年収としては調査方法等で多少のバラつきはありますが、700~1100万円くらいが多く公表されています。

しかし実際はかなり二極化が進んでおり年収0円~1億円以上(歯科医の4人に1人は200万円以下)までその格差は広がる一方であります。

ちなみに、1100万円の年収があったとしても全てが自由に使える訳ではなく、実質可処分所得(税金・教育費・老後資金などを引いた金額)はおおよそ775万円となりますので、その点ご考慮下さい。

また、775万円の実質可処分所得を得るには、年間収入で約4660万円、1日平均来院患者数28名1日平均(歯科医師)診療患者数20名程が必要となります。この数字は、決して容易に誰もが達成出来るものではありません。 (全国保険医団体連合会「開業医の実態・労務実態調査」より改編引用)

私見ですが、ある程度の二極化は成熟した資本主義においては当然の流れと考えておりますが、現在の歯科医院の実態は全体的に収入レベルが下がりすぎており、今回はその事を具体的数値で整理してみたいと思います。


まずは、「平均」という言葉に注目する必要があります。
この「平均」というものは放物線の様に山が左右対称に近い形で分布(正規分布)を示している分野では、非常に有効なのですが、現在の歯科医の収入の様に多数の低所得グループ少数の高額所得グループという歪んだ分布を示している場合は、決して適しているとは言いにくい集計方法だと考えております。

すなわち、実態とは異なるイメージを植え付ける事にもなり得ますので、注意が必要です。


平均値とは、ご存じの通り全体の所得を足して全体の数で割れば出てきます。非常にシンプルであり、多くのデータ分析や目安として用いられてはいますが、全てにおいてこの集計方法が適しているわけではありません

その他に、中央値(回答を所得の多い順または少ない順に並べて、ちょうど真ん中の値)や、最頻値最も分布の多い値)なども利用することで歯科医の収入の全貌がよくわかるかと思います。

歯科収入 

上のグラフは、歯科開業医の収支を表していますが、1999年頃から平均値・中央値・最頻値の差が急速に拡大しているのが解ります。すなわち、この頃から二極化が進み現在に至っていることが見て取れるかと思います。

2007年の値で見ますと、最頻値76.3万円に対し平均値は122.9万円となっており、一ヶ月で約50万円の差が出ていることになります。これは、結構な差であります。

平均値というマジックに引っ掛かってはいけないという事です 政治や経済の世界では、都合の良い集計をし、あたかもその数値が多くのヒトに当てはまるかのごとく表現するのは、もはや常套手段であります。

以前の記事にも書きましたが、勤務医(非常勤医)というのは成功例の医院しか見る機会がありません。なぜなら、患者さんが少なく収入の少ない医院が代診や非常勤医を募集することは無いからです。


これから開業を目指す先生方は是非その事を念頭において、もし可能であれば医院の存続に黄色信号のついている医院を見学しておくことが将来有益な経験になると考えております。

また、開業プランは中央値や最頻値も考慮に入れたものにすべきだとも、考えております。


以上、「歯科医院の二極化」のお話でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。