ひらめき電球 こんばんはぁ、門倉と申します。本日の「夕焼け寺ちゃん」夜の街聴いてくださった方ありがとうございました。



本音と建前のコーナーでお話した「ストーカーの最新手口」について箇条書きでまとめておきますね。


全国でストーカーの被害に遭う女性が増加している。警察庁の発表によると、2011年の全国のストーカー行為の認知件数は1万4618件にも達する。4年連続で1万4000件を超えており、2005年に比べると約20%の増加。2012年に入ってからもストーカー被害は増加傾向で、認知件数は前年比+30%を超えるペース。



ストーカー被害が増えているのは、IT(情報技術)の急速な発達で加害者がターゲットとなる女性の情報を容易に集められるようになったという事情がある。



最近ではSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のフェイスブックなどでターゲットの情報を集めるといったケースも。恋人との関係を断ち切った後でもパートナーはフェイスブックで監視していたりする。米国では、夫から逃げ出した女性が、フェイスブックのステータスを「パートナーなし」に切り替えたために殺害されるという事件があった。プロフィールを見た夫が妻の自宅に押し入って刺殺したのである。



女性の乗用車に全地球測位システム(GPS)の端末を無断で取りつけ、居場所を確認するといった手口もある。これは実際に日本であった事件。犯人は、知人女性につきまとうなどしたため警察から警告を受けた。その後、女性の車前部のバンパー下にGPS端末を付け、女性の居場所を確認して待ち伏せするようになったという。端末は主に車の盗難防止用で、月945円で警備会社と契約すると携帯電話などで車の位置が分かる。



近年、海外で問題になっているのが、「Gang Stalking」と言われる行為で、日本では集団ストーカーと呼ばれる。ストーカーは個人が個人につきまとう行為だが、集団ストーカーは、文字通り特定の組織や集団がストーカー行為や嫌がらせを行う。企業が従業員をリストラする目的で、同僚や業者を使って組織的にストーカー行為を行い、嫌がらせを繰り返し、精神的なダメージを与えるケースが多いという。ターゲットにする社員を集団で付回したり、家の前で張り込んだり、室内をのぞいたりする。すると、ターゲットにされた社員は「誰かにつけられている」という恐怖感で不安になり、ストレスから体調不良になる。すると、上司が産業医の診察を勧める。会社と通じている産業医は「メンタルヘルス不全」の診断を下して、社員を退職へと追い込む。つまり、精神病に仕立てあげて、合法的に解雇してしまうのだ。



ただ、集団ストーカーは個人の被害妄想による場合もある。



ストーカー行為を規制する法律としては、「ストーカー規制法」がある。「ストーカー規制法」は200011月に、「桶川ストーカー事件(99年)」を受けて、議員立法で成立した法律。



ストーカー規制法の対象となる行為は、次のようなつきまとい行為。

①つきまとい・待ち伏せ・押しかけ②監視していると告げる行為③面会・交際の要求④乱暴な言動⑤無言電話・連続した電話・ファクシミリ⑥汚物などの送付⑦名誉を傷つける⑧性的羞恥心の侵害



被害者が告訴して警察に検挙を求めた場合の罰則は6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金。また、被害者が警察に相談をした場合、警察はストーカー行為を行った者に対して警告を出せる。警告に従わない場合、都道府県公安委員会が禁止命令を出せる。この命令に従わない場合には1年以下の懲役または100万円の以下の罰金。



しかし、この「ストーカー規制法」は実際には適用が難しいところもある。たとえば、今回、逗子で起きたストーカー殺人事件の場合、犯人が執拗に被害者にメールを送っていたことが判明しているが(10日間で千件ものメールが送られていた)、嫌がらせを目的とした連続したメールはストーカー規制法では規制できない。というのも、ストーカー規制法が成立したのは00年で、そのころはまだメールがそれほど普及していなかったから。



もちろん、連続メールでも文面に「義務のない要求」や「乱暴な言動」があれば、ストーカー行為として規制の対象になるが、今回の事件のメールの内容は「慰謝料を払え」で、これは対象外という判断になり、法律の適用ができない。 



国家公安委員長は記者会見で、ストーカー規制法に、大量のメール送信を取り締まる規定がないことについて「今後どうするかは大きな課題。一般論だが、時代の変化に応じて法律に不備が生じれば改正されるべきだ」と述べている。



このように現行の「ストーカー規制法」には抜け穴があり万全ではない。女性にとっては自分

で自分の身を守るという気持ちや姿勢が必要。近年では、「ストーカー保険」という金融商品も登場しているので、加入を検討してみるのもいいかもしれない。



「ストーカー保険」は、住宅・家財保険のオプションで追加することができる。毎月210円程度の追加保険料で、ストーカー対策に要する費用を補償してくれる。具体的には、ストーカー被害に遭った場合、その行為を特定するために購入した機材の費用、弁護士への相談費用などの支払いがある(警察にストーカー行為に対する警告・援助の申し出等を行い、受理された場合)。



警察当局も、男女間の恋愛トラブルは、ほうっておくと重大事件につながる可能性があるという危機意識を強く持ったうえで、ストーカー規制法を積極的に運用する必要がある。




BRICs経済研究所 代表 門倉貴史