私にはもはや「恋」はなかろう。歳から言えば既に立派な「隠居」だ。(313頁より抜粋)
※本文中には、「隠居」は多く使われていたが、「恋」は無かった。そして、この文章は、あとがきだ。あとがきには、この巻が何と三百冊目とあった。おめでとうございます。そして、言い訳として、このシリーズは前巻(二十五)の『御留山』で完結したのではないかと叱られそうだとあった。それは、自分の孫のような存在の駿太郎を十代半ばで放り出しては良いのかという思いだったそうな。いや、結構結構、これでまた、佐伯先生の作品がまだまだ読める。嬉しい限りです。因みに「恋」は、新たに登場した娘二人のどちらとなのだろうか。あとがきでは、町道場の跡継ぎの愛だけしか書かれていないが、本文では麗衣子姫の熱い思いが描かれていた。いずれにせよ、楽しみだ。