韓国での徴用工像設置 駐韓大使の再帰国論も 菅義偉官房長官「極めて問題」 | KHのアメーバブログ

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テキトーなタイミングで、テキトーにコメントします。

今度は、駐韓日本大使館の前に、戦時中に徴用された徴用工の像を設置する計画がもちあがったようです。

 

 

◆ 産経ニュースの掲載記事(2017年4月28日 21時半頃)(http://www.sankei.com/politics/news/170428/plt1704280036-n1.html)をまとめると、

 

(S1)菅義偉官房長官は28日の記者会見で、韓国での徴用工像の設置計画について強い不快感を示した。外交関係に関するウィーン条約に違反し極めて問題。韓国側に適切な対応を求めたことも明らかにした。

 

(S2)菅氏は、像設置を計画している韓国市民団体が日本政府から謝罪も補償もないと主張していることに対し、「民間人徴用工問題を含む日本と韓国との間の財産・請求権の問題は、日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みだ」と重ねて指摘。

 

(S3)日韓両国の間では釜山の総領事館前に慰安婦像が設置され、長嶺安政駐韓大使が1月、日本に帰国。今月4日、約3カ月ぶりに帰任したが、黄教安(ファンギョアン)大統領代行との面会は今も実現していない。

 

(S4)この上、徴用工像まで設置されれば、再び長嶺氏を帰国させるべきだとの強硬論が日本で浮上しかねない。

 

 

◆ 朝日新聞デジタルの掲載記事(2017年4月28日 21時半頃)

http://digital.asahi.com/articles/ASK4X5S60K4XUHBI023.html?iref=comtop_list_int_n05

をまとめると、

 

(A1)日本の植民地支配下にあった朝鮮半島から動員された「徴用工」の問題に取り組む韓国の市民団体は28日、国会で記者会見し、徴用工を象徴する像をソウルの日本大使館前と釜山の日本総領事館前に設置すると発表した。南西部の光州駅前の広場にも1体建てる。

 

(A2)同市民団体によると、徴用工像は高さ約3メートル、幅約1・5メートルの石像で、当時の苦痛などを表現する。設置時期は今年8月15日を予定。団体の代表は記者団に「日本の蛮行が伝わるようにしたい」と述べた。

 

(A3)これに対し、韓国外交省は28日、徴用工像の設置について「外交公館付近に造形物を設置するのは、外交公館の保護と関連した国際礼譲と慣行の側面から望ましくない」とのコメントを出した。

 

 

◆ 読売新聞のネット晩YOMIURI ONLINEの掲載記事(2017年04月28日 21時半前)

http://www.yomiuri.co.jp/world/20170428-OYT1T50143.html?from=ytop_ylist

では、

 

(Y1)韓国市民団体が28日、ソウルの日本大使館前の慰安婦を象徴する少女像の横など3か所に、日本の植民地時代に動員された徴用工の石像(高さ3メートル、幅1・5メートル)を設置すると発表した。市民団体は、元徴用工やその遺族と共に、日本企業を相手取った損害賠償請求訴訟を起こしている。

 

(Y2)日本の植民地支配からの解放を記念する8月15日の「光復節」に、大使館前のほか釜山の日本総領事館前の少女像の横、南西部の光州クァンジュ駅前広場に設置する計画。

 

(Y3)像の設置は在外公館の「安寧と威厳」を守ることを関係国に義務付けたウィーン条約に抵触する。少女像に続き徴用工の像も設置されれば、日韓の新たな外交問題となる可能性が高い。

 

(Y4)韓国外交省は28日、設置について「外交公館の保護と関連した国際礼譲及び慣行の側面から望ましくない」とコメント。

 

 

◆ 日経新聞に掲載された2本の記事(2017年4月28日 19:14と19:17)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H7N_Y7A420C1FF8000/

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H84_Y7A420C1FF8000/

をまとめると、

 

(N1)韓国の市民団体「対日抗争期強制動員被害者連合会」は28日、ソウルで記者会見し、日本統治下で徴用された朝鮮半島出身者の労働者の像をソウルの日本大使館前などに日本からの解放記念日(光復節)の8月15日に設置する計画を発表。

 

(N2)労働者の像は全体の高さ約3メートルの石像で、日本大使館前にある従軍慰安婦を象徴する少女像の隣のほか、釜山の日本総領事館前の慰安婦少女像の隣と南西部・光州の計3カ所に建てる予定。

 

(N3)実際に設置されれば日韓間の新たな火種になるのは必至。

 

(N4)同団体は「地獄の労働現場で死ぬほど働いた苦痛の歴史を次世代に永遠に伝える」と説明。

 

(N5)韓国外務省当局者は28日、「外交公館の周辺に造形物を設置するのは外交公館の保護と、国際儀礼・慣行の面から望ましくない」と指摘。日本政府から外交ルートを通じて在外公館前の労働者像設置の動きに憂慮が示されたと明かした。

 

(N6)菅官房長官は28日の記者会見で、外交ルートを通じて韓国側に抗議したと明らかにした。「日韓関係にまったく好ましくない影響を与え、外交関係に関するウィーン条約の規定に照らしても極めて問題だ」と語った。

 

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いかがでしょうか?

 

 

まず、歴史的な事実として、太平洋戦争(大東亜戦争)中に、日本政府は朝鮮半島でも国民徴用令による戦時徴用をおこないました。

 

しかし、1910年の日韓併合以降、1945年の終戦にいたるまで、当時の朝鮮人は日本国民であり、日本列島在住の日本人男性が戦場に送られていたのを代替するものとして、朝鮮人に対してより安全な労務動員を課していたというのが実態です。

 

しかも、日本政府が労務動員すなわち戦時徴用を朝鮮半島で開始したのは、戦争末期の1944年9月からです。1945年3月までのわずか7か月間のみ実施していたというのが事実です[1]。

 

このため、韓国系日本人の学者からも、当時の朝鮮人の戦時徴用を「強制連行」と呼ぶのは、「日本人の加害者性や朝鮮人の被害者性を誇張しすぎている」で、不適切という意見もだされています[2]。

 

ただし、国民徴用令による戦時徴用であったにも関わらず、命令を無視して、徴用に応じないケースが朝鮮半島であったようです。

 

1944年5月朝鮮半島の霊光郡で、集合指定時刻までに、120名の徴用者のうち36名しか出頭しなかった(それも「面」(日本でいうところの「村」)が強制的に連行したもの)ため、

 

徴用の現地責任者が郡庁職員、警察署経済係員および「面」職員を総動員し、寝込み、あるいは、田畑で作業中に、被徴用者を強制的に連行するなど乱暴な方法をを用いて徴用対象者を確保したことがあったようです[3]。

 

 

当時、日本列島在住の日本人でも、徴兵を逃れようとした人もいたようですが、徴兵忌避は違法行為で罰則が定められていました。

 

当時の兵役法によれば、兵役を免れるために逃亡などした者は3年以下の懲役、現役兵として入営すべき者が正当の事由なく入営の期日に後れ10日を過ぎた場合は6月以下の禁錮。正当の事由なく徴兵検査を受けない者は100円以下の罰金。

 

一般の市民が兵役を逃れた場合、村八分などにより、親族が肩身の狭い思いをすることや、厳しい官憲の監視がありほとんどが兵役についたみたいです。

 

 

なので、当時の朝鮮半島の或る村の出来事ではありますが、120名の被徴用者のうち強制しても36名しか集まらないという状況は、当時の日本本土の住民から見ると「戦地に行かされるわけでもないのになんで?」と理解し難いものがあったような気がします。

 

 

、、、というわけなので、

 

(A2)の、『韓国市民団体の代表が「日本の蛮行が伝わるようにしたい」と述べた』とか、

 

(N4)の、『韓国市団体は「地獄の労働現場で死ぬほど働いた苦痛の歴史を次世代に永遠に伝える」と説明した』とか、

 

に対しては、個人的に違和感を覚えます。

 

 

 

さて、(A3)、(N5)、(Y4)でそれぞれ伝えられているように、韓国外務省は既に「徴用工像の設置は望ましくない」と控え目に否定的立場であることを述べています。

 

もはや自分達の置かれた立場を必死に擁護するため、自分達の保身のためのエクスキューズのために、控えめコメントを出しているだけでしょうね。

 

 

 

最後に、産経新聞が、

 

「(S4)この上、徴用工像まで設置されれば、再び長嶺氏を帰国させるべきだとの強硬論が日本で浮上しかねない。」

 

と自社あるいは記者の意見・予想を述べています。

 

 

 

私個人の意見としてはこの産経新聞の意見には反対です。

 

 

 

駐韓日本大使の帰国カードはそんなに軽く、繰り返し用いるものではないでしょう。

 

逆の言い方をすれば、国交断絶の次に重い意味を持つ大使召還。召還よりちょい落ちの「大使帰国」です。

 

徴用工像の設置を発表した韓国市民団体は既に、当時の徴用に対して謝罪と補償を求め提訴しています。これに対して、日本政府は

 

(S2)で伝えているように、

 

「民間人徴用工問題を含む日本と韓国との間の財産・請求権の問題は、日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済み」

 

と、過去と同様に、繰り返し指摘するのが基本的な対処方法なのですから、その作戦のままでいいでしょう。

 

 

ですが、ソウルの日本大使館や釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像は日本の在外公館の尊厳を傷つける行為です。

 

しかも、2015年12月末の慰安婦問題に関する日韓合意で「最終的かつ不可逆的に」解決されているにも関わらず、日本大使館前の慰安婦像は民間団体が設置したものだから、、、などと韓国政府は言い訳したままで慰安婦像を放置し、

 

さらに、新たな慰安婦像を釜山の日本総領事館前に設置するに至り、日本側の怒りを示すために大使帰国というかなりの強い意味を持つ手段を取ったわけです。

 

 

徴用工の問題を、慰安婦問題と同様なレベルで、一緒くたに扱うべきではないと思います。

 

慰安婦問題は、過去の日本人の名誉と、現在・未来の日本人の尊厳に大きく関わる問題だからこそ、大使帰国のような強い対応も取り得るのだと思います。

 

 

[1] https://ja.wikipedia.org/wiki/朝鮮人強制連行

[2] 鄭 大均『在日・強制連行の神話』文春新書、61-63、 2004年

[3] 外村大『朝鮮人強制連行』P63P〜76、P149、P178,岩波新書、2012年

 

 

毎日新聞のネット版webサイトには、この時事に関する記事の掲載はないようです(2017年4月29日午前6時33分現在)

 

東京新聞のネット版webサイトには、この時事に関する記事の掲載はないようです(2017年4月29日午前6時35分現在)