【FIREシミュレーション】2022年当初は「4,000万円でFIREできる」と思っていた─実際にFIREして見えた本当の課題
はじめに
2022年当時、私は「最低4,000万円の金融資産があればFIRE(早期リタイア)は実現できる」と考えていました。
生活費と年金をもとに計算すると、資産は大きく減ることなく推移し、十分に老後を乗り切れるように見えたからです。
当時はまだインフレが本格化する前であり、将来の建築費や物価上昇を深く織り込んではいませんでした。
そのため、
- 住宅設備はできるだけ更新せず使い続ける
- 築32年頃にローコスト住宅へ建て替える
という前提でシミュレーションを作成していました。
しかし、その後の検証で、この前提には大きな落とし穴があることが分かりました。
シミュレーションの前提条件
当時設定した条件は次のとおりです。
- FIRE開始時の金融資産:4,000万円
- 企業年金:約160万円/年(60歳から)
- 基本生活費:月30万円(年間360万円)
- 税金・社会保険料:年間約60〜242万円
- ライフイベント(子どもの就職・結婚など)は都度反映
この前提では、毎年の収支は大きく崩れませんでした。
65歳〜74歳までは順調
一時的に子どもの就職や車購入などのライフイベントで支出は増えますが、その後は企業年金や国民年金が家計を支え、資産残高は安定して推移します。
74歳時点では、
資産残高:約1,981万円
まで回復する見込みです。
この時点では、
「4,000万円あれば十分FIREできる」
という結論になっていました。
15年先の住宅建て替え
ところが、75歳で状況が一変します。
ちまちまリフォームするよりも我慢して、築32年で気前よく自宅を建て替える前提で、
住宅建て替え費用:2,800万円
を一括計上しています。(かなり先の話なので超概算見積です)
その結果、
- 年間支出:約3,362万円
- 資産残高:▲589万円
となり、一気に資金不足へ転落しました。
さらに生活費を月25万円まで抑えても、
- 80歳:▲407万円
- 90歳:▲42万円
と、生涯を通じて赤字を解消できませんでした。
なお、このシミュレーションにはiDeCo約600万円を含めていません。
※意図的にクリティカルな場所を特定するように作っています
そのため実際には、iDeCoを取り崩せば資金収支はほぼ均衡する計算になります。
それでも、大型支出が資産計画に与える影響の大きさは十分に示された結果でした。
シミュレーションから得られた4つの教訓
① インフレにより10年以上先の試算(資産)は大きく狂う
2022年当時は、建築費や設備価格がここまで上昇するとは想定していませんでした。
長期シミュレーションほど、インフレ率の設定が重要になります。
② 大型支出は生活費とは別管理にする
住宅、車、介護、リフォームなど、
数十年に一度発生する支出は、
毎月の生活費とは別枠で管理することを再認識しました。
③ FIRE後も資産運用を続ける
当時は、
「現金を取り崩すだけ」
という設計でした。
しかし現在なら、
資産の一部を運用し続けることで、
資産寿命を延ばせると考えています。
リタイア後も、
資産に働いてもらう
という発想が重要です。
④ 4,000万円は当時の最低ラインだった
日常生活だけを見ると4,000万円でも成立します。
しかし、
住宅建て替えのような大型イベントまで考慮すると、
安全余裕はほとんどありませんでした。
やはりFIREには、
予備費(バッファー)を含めた資産設計が必要です。
2023年の私ならどう設計変更したか
このシミュレーションを作成したのは2022年でした。
その後、資産運用を続けながら制度や老後資金について学び直した結果、2023年には考え方が変わりました。
おわりに
2022年当時の私は、
「4,000万円あればFIREできる」
と考えていました。
実際、日常生活だけを見れば、その考えは大きく間違ってはいませんでした。
しかし、長期キャッシュフローを作成して分かったのは、
FIREの成否を左右するのは毎月の生活費ではなく、住宅や介護など数十年に一度訪れる大型支出である
ということです。
長期の資産計画は、一度作って終わりではありません。
インフレや制度変更、家族構成の変化を反映しながら定期的に見直していくことで、より現実的で安心できるFIREプランへと進化していくのだと、私はこのシミュレーションから学びました。
なのでマクロなキャッシュフロー表から毎年キャッシュフロー表を見直して更新するようになりました。
