私が上京した理由
整体の学校に通うためです。
え?それだけ?
ええそれだけ。
でも結局それで仕事をすることはなかった。
同級生で24歳の私より10歳以上年上のお姉さんがいて、学校を卒業してその学校の助講師をやって、そのあとフリーターになってフラフラしてたときに、いろいろ相談した。
整体の学校に行ったはいいものの、全然やる気でないし、他の生徒さんや講師みたいにその整体に対して強い興味とか整体の施術を受けて感動したとかそういう体験もなくて。
じゃあなんで?って話だけど、大学受験に失敗して数年ふらふらして何かやんなきゃなーと思って手元にあった医療系の様々な仕事を紹介する本に私が通った整体学校が載ってた。
ちなみに、整体って民間資格で全国津々浦々いろんな流派や独特の手技がある。
鍼灸師、按摩マッサージ師、柔道整復師など、同じ手技でも国家資格もあるけど、まー、学費が高い高い。そんな余裕は全くなかったし、早く仕事をしたくて、整体の学校は1年だったからそれで整体師としてやっていけると思っていた。
甘かったね。1年で一人前になれるわけないんだよね。
それでもパチンコ屋でバイトしてお金貯めて上京して上に書いたように助講師までやったけど、何だろうな、思ってたのと違ったのと、1年じゃどうにもならないし、学校といってもいわゆる専門学校とか大学とかみたいな学歴になるようなものでもなくて、養成講座みたいなのに近いから、就職先もなくてね。
助講師の任期が満了した頃にめちゃくちゃ悩んだ時があって、周りの同じように整体師を目指している人と比べたらまー全く意欲も興味も沸かないし、全然わかんないし、ゴールも見えないし、ぐちゃぐちゃになってしまったんだよね。
特に同じ助講師だった人は私より遥かに知識も技術もあるし、今思えば天才だったんだけど、当時はそんなのわかんないから「ここまでの興味や意欲ややる気がないとダメなんだ。そしてこの頭の良さはなんなんだ。」ってなって打ちのめされてしまったんだよね。
だけど、学費と上京費用で200万円注ぎ込んでたから、興味ないならやーめたって簡単には手放せなくて、いつかやろう、ちゃんと向き合えたらやろうって、いつかやるから、今じゃないからって「整体をいつかやる自分」っていうものに縛られていた気がする。
そのあとバンドにはまって精神的におかしくなってクソみたいな生活したり、父親がケーキ屋だったんだけど、誰も継がないから父親のケーキ屋なくなるの嫌だから継ごうかなとか考えたり、ほんと毎日毎日泣きながら考えてたよ。
どうしたいんだって、何がしたいんだって。
整体しろよな笑
そんなとき整体の学校の同期のお姉さんに相談して言われたのが
「家を出たかっただけなんだよ。家族と離れたかっただけなんだよ。」
だった。
当時は全くピンとこなかったのと、どこかでそうなのかもと思ってもそれを認めたくなかった。200万円もかけたのにそれをやめる、手放す勇気もなく決断もできなかった。
そうまでしたのに結局やらなくて、家族とか送り出してくれた人になんて言えばいいんだろうって。
でもさ、そんな周りの目なんて気にしなくてよかったんだよね。
興味がないならないでいつまでも引きずってないでさっさと吹っ切って他の仕事を真面目にすればよかったんだよ、ほんと。
結局今でも全くやってないんだから。
本棚の目につくとこにテキストを置いているけど年一くらいしか見ないもんね。
私はこの「いつかは整体をやるんだ」という義務感みたいなものが呪いになってた気がするし、逃げにもなってたように思う。
整体やるから就職できないとか、逆にする必要ないとか、都合よく言い訳に使ってたんだよね。
どうせ一生やらないのに。
で、もう整体やらないって決めたというか、まぁやらないだろうなって自覚したときに同期の言葉を受け入れられたんだよね。
200万円使ってなんにもならなかったけど、私はあの家から出て、一人で生きたかったんだって。
あ、家は普通です。虐待とか毒親とか全くそんなのはないです。
ただ、家族に対して罪悪感とか劣等感がすごくあって、ずっと一緒に暮らすのは私にはしんどかったんだと思う。
実際上京しても全くホームシックにならなかったし、むしろ楽で仕方なかったもん。
家族と一緒にいると、私はクズでダメで必要ないダメダメ人間だって思わされてたんだよね。
私が勝手に思っていたことです。
だから「家を出たかっただけ、家族と離れたかっただけ」それを認めてさっさと整体のことを捨てていたら、違う人生だったのですかね。わかりませんけど。
やめる、手放す、諦める決断って本当に大変 なこと。
時間やお金など、費やしたものが多ければ多いほど。
応援してくれた人がいれば尚更。
私なんてたかだか1年で200万円だけど、世の中には大学まで通ってもっと高い学費も払って資格を取得したりしてても、みんながみんなその道で生きていくわけではないんですよね。
実際就職してみたら自分には合わなかったとか、意欲が続かなかったとか、給料が低すぎて生活できないくて辞めるしかなかったとか辞める人なんていくらでもいる。
辞めることや諦めること、手放すことは別に悪いことじゃないんだよね。
他にやりたいことがすぐ見つかればラッキーだけど、そうじゃないとしても、とらわれて人生止まってしまうよりはいいのかもしれない。
結局自分の人生だから。
自分の人生が社会に受け入れられるか、どう評価されるかはまた別の話だけど、でも、 自分がどういう選択をするかは自由。
その結果社会に受け入れられにくかったとしてもそれは仕方ないし自分の責任でもあるかな。
手放すこと、諦めることは悪いことではないし、前に進めるならそれでいいと思う。
横須賀に移住したい夢があったけど諦めました。経済面で現実的に無理だし、どうしてもってわけでもないんで。笑
たぶん、私の悪い癖で、何か特別なことをしなきゃって思って、もう10年以上前に見た夢をひっぱりだしてきただけ。
40年生きてるからもうわかるけど、毎日楽しくて充実してキラキラして幸せー!なんて人生送っている人なんてそうそういないし、人生ってそういうものでもない。
ただ生きる、それでいいんですよ。
例えば死ぬときに、自分の人生何もなかったなーって思ってもそれでいいんですよ。
ただ日々を生きる、生き抜くことが大事なんじゃないかと思います。