マイ・ブラザー / 2009年米 | TDR&MOVIE

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マイ・ブラザー / BROTHERS

海兵隊出身の父が思い描いたとおりに育った軍人の兄サム。反して、ベトナム帰りに父が家族を顧みなかったことに反発し、思うが侭に生きる弟トミー。兄はアフガニスタンに派兵され、弟は刑務所での刑期を終え出所。互いの環境を労りつつ、新たな生活を受け入れ、環境に慣れてきた頃、家族全員が悲しみのどん底に。悲しみ沈むサムの妻と姪たちを励まそうと、兄に対する今までの感謝の意味をこめて、奮闘するトミー。やっと、彼らが悲しみを乗り超えようとした頃、サムが生きて戻ってくる…まるで別人になって…

運命と残酷なもの。平穏を取り戻した家族の元には、思いがけない現実が。良心的で家族を愛して止まなかったサムが、アフガニスタンで捕虜となり、無事に帰還するもPTSDに。また、その妻グレースは、亡き者と思っていた夫の思いがけない帰還に戸惑いを隠せない。そして、サムの弟トミーは、亡き兄のために、義理の姉と姪二人を守ろうと心に誓った…のに…この時点で、私はグレースとトミーとの関係が上手くいきますように!って、長女と同じ気持ちになっていました。やっと、みんなに笑顔が戻ってきて、とても素敵な家族になれるような気がしたから。でも、そんな彼らを見たサムは、大ショックだったでしょうね。そうでなくても、人として過酷な日々を送っての帰還。精神的にも相当追い詰められていただろうから。誰の立場に立っても、悲しい現実が目の前にあるわけです。

兄サムを演じるのはトビー・マグワイア。彼のあの血走ったような目線…すごく怖かった。何を考えているのか、何を思っているのか全く読めない、あの表情…演技とはいえ、恐怖さえ感じました。心の中が空っぽになってしまったかのようで、とても気の毒だけど、彼もきっと、自分は戻ってくるべきでなかったのかもしれない…と、思っていたことでしょう。何よりも、大切に育てた娘に否定されたことが一番の悲しみだったのでは…

その妻グレースにはナタリー・ポートマン。笑顔が素敵な彼女だけに、この役どころはとても観るに耐えられないほど、悲しげでした。やっと取り戻したその笑顔はあっという間に戸惑いに変わり、そして、絶望に。自分の愛した人が、全く違う人間になって戻ってくるという現実。考えただけでも恐ろしいです。

そして、弟トミーにはジェイク・ギレンホール。優等生的イメージが強い彼も、今回はややアウトローな感じ。父親の思い通りに成長した兄に対するコンプレックス。大好きだった母に対する父の扱いに、反発していた幼少時代。そして、刑期を終えた今の自分。新たな自分を見つけようとした矢先の兄の死。守るべきものを見つけ、自分なりに今までの兄に対する感謝の気持ちを表そうとしたトミー。自分が誰の立場になってこの作品を観るか?と言ったら、トミーだったのだけど、いずれにしても心が苦しかった…

とても気の毒だったのが、二人に娘たち。父を亡くし、何も判らぬまま悲しみに沈んでいた時に、優しくしてくれた叔父トミーにやっと心を開いた時に、自分の父でない父が目の前に。ものすごく戸惑ったであろう彼女たちのある意味残酷な父サムに対する言葉。子供って…素直であることが残酷なのね…涙。誕生日会のシーンは、心が痛くなりました。(お姉ちゃん役の子、むっちゃ演技が上手い!)

全編を通して、家族や兄弟の深い絆、そして戦争というものがどれだけ無意味で、たくさんの犠牲を払わなくてはいけないものであることかを描きます。内容はとても濃く深いけれど、物語にとても引き込まれました。キャスティングが最高。かなりの良作。思い出しただけで、ウルルってします…心が張り裂けそうに。

監督 ジム・シェリダン
製作総指揮 タッカー・トゥーリー 、ザック・シフ=エイブラムズ
原作 -
音楽 トーマス・ニューマン
脚本 デヴィッド・ベニオフ
出演 トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、サム・シェパード、クリフトン・コリンズ・Jr、メア・ウィニンガム、テイラー・ギア、ベイリー・マディソン、キャリー・マリガン
上映時間: 105分
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id335798/