正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 / 2009年米 | TDR&MOVIE

イメージ 1

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 / CROSSING OVER

アメリカの抱える問題『不法滞在』について、スポットを当てた作品。
不法入国、不法滞在する者たちを取り締まる移民局I.C.E.の捜査官マックスを中心に、
その問題が多くの犠牲や権力によって、多くの事件に繋がっていくという実態を描く。

移民局I.C.E.のベテラン捜査官マックス。
不法滞在者を取り締まる立場でありながら、彼らに対し、つい同情的な態度で接してしまい、彼らの事情を汲んで見逃してしまう。
そんな彼の前で、一人のメキシコ人女性が強制捜査の末、国外退去処分となってしまう。
彼女には幼い男の子が…その少年を彼女の家に送り届けたときには、時既に遅く、またも彼女はアメリカに向かっていた。
同じ頃、同僚の妹とその彼が何者かに射殺される。彼らの遺品の中には、偽造のグリーンカード。
この事件にもまた、不法滞在に繋がる何かがあると、マックスは独自に捜査を始める。

『不法滞在』というキーワード。色々な状況に置かれた人々を描いたこの作品。
それぞれに、それぞれの事情があり、自由の国アメリカに入国し、違法に居続ける彼ら。
グリーンカードは、彼らにとって、全てを得ることが出来る魔法のカードのようなもの。
そのカードを取得するために、お金が動き、自らの身体を使い、知る限りの手段をつくす。
その結果、様々な事件に繋がる。

ハリソンが、渋~い捜査官を演じてます。
寡黙で、正義感が強くて、真っ直ぐで。
心の底から溢れるようなやさしさ…このマックスという役が、とてもハマっています。
やっぱり、彼は正義の味方的な役柄が良く似合いますね。

そして、この作品のテーマである人々。
メキシコより幼い息子を連れ、家族の為に不法就労をする女性。
観光ビザで入国し、滞在期間が切れてもなお、アメリカでの成功を夢見るオーストラリア出身の女優。
グリーンカード取得のために、ラビであることを演じるミュージシャン。
家族と共に韓国から移民し、アメリカ市民としての宣誓を間近に控えた青年。
イスラム系として、世間の誹謗中傷に悩む少女…
と、それぞれの日常が描かれていきます。

日本にも、たくさん居るであろう不法滞在者。
アメリカと同じく、捜査の網をくぐり抜け、生きていくためにはたくさんの苦労をしていることでしょう。
犯罪に手を染めたり、自らの命を短くするような危険な橋を渡りながらも、その対価は母国に居るよりも遥かに上。
しかし、その代償は大きい。
この作品でも、彼らの弱みに付け込む、悪い奴らがたくさん出てきます。胸糞悪いです。

この作品のラストは、ハッピーエンドであり、バッドエンドでもある。
個人の主張が許されている世の中にありながら、きれいごとだけでは済まされない問題というものが、
世の中にはたくさんあるのだと、深く感じ、エンターテイメントというより、ドキュメンタリーを観ているようでした。
タイトルの「正義のゆくえ」。
何を以って正義を正義というのか?正義の反対は、別の正義!??

この作品。公開されている劇場数が少なかったのが残念です。

監督 ウェイン・クラマー
製作総指揮 マイケル・ビューグ 、ボブ・ワインスタイン 、ハーヴェイ・ワインスタイン
原作 -
音楽 マーク・アイシャム
脚本 ウェイン・クラマー
出演 ハリソン・フォード、レイ・リオッタ、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス、クリフ・カーティス、サマー・ビシル、アリシー・ブラガ、アリス・イヴ、メロディ・カザエ、ジャスティン・チョン、メリク・タドロス
上映時間 113分
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id333888/