グラン・トリノ / 2008年米 | TDR&MOVIE

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グラン・トリノ / GRAN TORINO

クリント・イーストウッド最後の主演作と噂される今作品。
民族を超えた、繋がり。
同じ民族間でも起こる争いなどを中心に、心を閉ざした一人の老人とモン族の姉弟との交流を描く。

唯一の理解者であった妻が亡くなり、子供たちとの確執や溝が大きくなり、孤立無縁状態の老人ウォルト。
戦争を経験し、自らも若い敵兵を死に追いやったことがトラウマとなり、人との交流を上手くできずにいた。
そんな中、隣の家に引越しをしてきた母と姉弟で暮らすモン族の家族。
彼らは彼らなりの事情の中、狭いコミュニティに生き、そんな中でも、民族間の争いに苦しんでいた。
ひょんなことから、その家族と言葉を交わし、いつしか家族にも心を許さなかった老人が、その部族に溶け込んでいく。

人種問題を前面に出したような作品と思いきや、以外にも時にハートフルな場面もあったりと、心と心の交流を描く、そんな作品でした。
民族の壁を越え、守りゆくものの大切さを知る。
目を覆いたくなるような、残酷なシーンや表現もありながらも、黙々と生きる老人の姿にいつしか応援する気持ちも芽生えたり…

面倒臭そうな、老人ウォルトを演じるのはクリント・イーストウッド。
独特の存在感の中、すこしずつ心を開き、打ち解けていく様は、さすがですねぇ
彼が関わることとなった隣人たちのように、彼が心を開けば開くほど、見ているこちら側も安堵のようなものを感じました。
なぜ、彼が隣人たちに心を許していったのか…
それは言葉では言い表せない、何かをお互いに感じるものがあった…そんな所でしょうか。
彼が長く生きてきた人生の中で、悟ったもの。自分の生き様とは…

そして、その隣人の姉弟。
今回の作品で、本格的に演技をしたとのことですけど、素晴らしいのですよね…
イーストウッドを前に、堂々として、そしてその役柄を完璧に理解した、見事な演じっぷり。
姉のスー役のアーニー・ハーに於いては、素晴らしい存在感でした。
ハリウッド作品でアジア系の民族が取り上げるというのは、なかなか難しいと思うのですけど、この作品は、モン族だけでなく、アメリカに移民した多くの種族について語られたといっても過言ではないと思いました。

熱心に老人を訪ねる神父が印象的でした。
まだ、神学校を出たての彼が、如何にして老人の心を開かせるのか…
そして、その神父もまた、神が彼らに与えたこの試練、出来事について、苦悩し問いかけるのでした。

1972年製グラン・トリノ。この車をキーワードにしたこの作品。
いい映画だったと、一言では言い切れない、色々な思いや考えを持たされる作品でした。
エンドクレジットの曲…いい曲だなぁと思ったら、イーストウッドの息子の作品でしたか…

監督 クリント・イーストウッド
製作総指揮 ジェネット・カーン 、ティム・ムーア 、ブルース・バーマン
原作 -
音楽 カイル・イーストウッド 、マイケル・スティーヴンス
脚本 ニック・シェンク
出演 クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、ドリーマ・ウォーカー
上映時間 117分
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id332286/