クィーン / 2006年英仏伊 | TDR&MOVIE

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クィーン / THE QUEEN

エリザベス女王とイギリス王室の目線と、就任したばかりのブレア首相の目線。
ダイアナ元妃の事故死を中心に、イギリス国民の王室に対する期待や不信感を、
ドキュメンタリーの如く描いたこの作品。
それぞれの立場や心情を、飾り立てることなく、ありのままを描いていることで、
ある意味、親近感も覚えながらも、複雑な人間模様をも垣間見ることに…
ダイアナ元妃を外部の人間とする王室の考え方に対し、イギリス国民の求めるものとの格差。
沈黙を守り続け、国葬をするに至るまでの数日間に起こった様々なやりとり。
誰の目線でこの作品を観るかによって、感想は様々になると思われます。

冒頭、トニー・ブレア氏が選挙に勝ち、首相承認の儀式までのちょっとした流れにも、
たくさんの物事が含まれていて、かなり興味深かったです。
イギリス国民として、女王を敬うブレア氏に対して、王族制に批判的な妻とのやり取り。
そんなブレア氏の妻の思想を知っていながらも、凛とした態度を示す女王。
この作品の中で、一般人が知ることの出来ないような王室のしきたりなども、
数多く登場するのも見所のひとつ。

ラスト近くには、エリザベス女王が王室としての昔からの考え方よりも、
今求められている、個人としての考え方を尊重することを選んだその苦悩を感じ取り、
いつしか、彼女のその心の痛みに共感し、ダイアナ元妃への見方も変わっていってしまいました。
劇中、フィリップ殿下の一言「ダイアナは生きていても厄介、死んでからも厄介」と…
この一言は、かなり衝撃的でもあり、ダイアナ元妃に対する王室の見解すべてが含まれているようなそんな気にもなりました。

大鹿のエピソード。
その鹿をダイアナ元妃と重ねることにより、心を痛めるエリザベス女王。
捕らえられた鹿を見つめる女王の姿に、とても胸が苦しくなりました。
女王といえどもひとりの人間。
自分の意見や考えだけではどうにもならない立場にいることが、どれだけ大変なことなのか・・・
その女王にとって、ブレア首相という存在は、大きな改革の手助けともなり、
よきアドバイザーとなったのかと思います。

あまりいいイメージのなかった、エリザベス女王とチャールズ皇太子への見方が、
この作品を観ることで、大きく変わった私がいましたよ。
ちょっと、影響されすぎ??かな?

監督 スティーヴン・フリアーズ
製作総指揮 フランソワ・イヴェルネル 、キャメロン・マクラッケン 、スコット・ルーディン
原作 -
音楽 アレクサンドル・デプラ
脚本 ピーター・モーガン
出演 ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングス、ヘレン・マックロリー、ロジャー・アラム、ティム・マクマラン
上映時間 104分
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id326671/