マカロンとサガンと
マカロン、という響き、意匠、味、どれをとってもParisのイメージ。
わたしのParisのイメージはマカロンとフランソワーズ・サガン。
*
ずっと昔。
深夜の電車に乗っていた。
車窓に映る自分の顔を見て、
遠い将来の自分はいったいどうしているだろう、
「なにか」をみつけているかしら、
と思った。
ふと、目の前に座っている同年代の女性を見ると、
一心不乱にフランソワーズ・サガンの
「悲しみよ、こんにちは」
を読んでいた。
ぱあっと、パリの夜景と煙草の煙、
サガンが好きなヒョウ柄のコートや真珠のネックレスが浮かび、
なんてParisは遠いのだろうと感じた。
つかめないものを求めたりせず、
目の前の、家族や友人や健康や仕事がどれほど愛おしいものかを、
強く実感しながら生活する夜に、
とっておきのマカロンとコーヒーがおいしかった。
ひさしぶりに、フランソワーズ・サガンを読んでみたい。
あいかわらずParisは遠いけれど。
ブレッド&サーカスでした。