夫の実家は家族のお祝い事などをきっちりと行う家庭だったようだ。そういうことって、やっぱり引き継がれるものだ。
一方の私は商売を営む家庭に育ち、お友だちを呼んでの『お誕生日会』を母がやってくれたものの、家族でお料理を囲んだり、プレゼントをもらったり、などはなかった。もちろんホールケーキにろうそくを立てて、吹き消すなんてことはなかった。だから私は、その日にお祝いがなくても何の不満もない。逆にお祝いすることは好きだけれど。
夫は小さい頃からそのように家族でお祝いしてきたから、今でもそのように祝ってほしいし、お祝いすることも忘れない。子どもらはそれをわかっているから、夫にプレゼントをする。彼は、とっても嬉しそう。プレゼントは、どんな物でも良い。みんなで外食することもある。私は毎年、ポロシャツなどのウェア を用意する。クリスマスにネクタイを置いておいたこともある。
私の時は、何もない。その昔、誕生日に夫がプレゼントをくれた時期もあったが、最近はそれもなくなった。誕生日や母の日など。私は何の不満もない。みんなから
「おめでとう」
とか
「いつもありがとうございます」
のラインが届く。最近は孫たちが拙い字で
「おばあちゃんおめでとう」
のカードをくれたりして、私はそれがとても嬉しい。
思い出したことがある。義母が亡くなって10年以上たって、お片付けをしていた時、私がプレゼントした普段使いのバッグ、ブラウス、が箱に入ったまま出てきた。タグも付いたまま。子どもが小さかったころ、わざわざ電車に乗って買いに行ったプレゼントだ。だから、それらを見てちょっとがっかりした。
「1度も使われることなく、そのまま20年近くもしまわれていたのか……」
普段から義母の好みをさぐり、迷って迷って決めたプレゼントだ。お花や茶菓が良かったのか。
確かに、義母はなんでも持っていたなぁ‥‥‥。そんなこともあってか、私はプレゼントを何にするかお相手を悩ませるのが嫌なのだ。若かりし頃は、その「悩むことも悩ませることもまた楽し」っていう時代が私にもあった。友人同士はもちろんのこと、彼が選んでくれたもの、お相手のその気持ち、そしてプレゼントそのものにも喜んだ。
が、結婚してからは、せっかく夫が買ってくれた物に対して
「これですか?」
になってしまった。
「これなら、おめでとうだけでいいのに」
あ、口には出していませんよ!神に誓って。感謝は伝えましたよ。そしたら私の表情が固かったのか、彼も気づき始めたのか、ある時キャッシュがやってきた。祝ってもらうこと、祝うことを形で表すものだと思ってきた彼だ。何かしら用意したかったのだろう。
私としては
「これこれ、そうそう、これなのよ」
と心の中で伝えて
「ありがとう」
を言った。最高の笑顔だったかな?バレたかな?確信させたかな?
好きなもの、買った。