このタイトルには惚れました。ドラマタイトルって大体名詞だ。それか『タツキ先生は甘すぎる!』や『10回切って倒れない木はない』などのように文章のようなものもある。が、『Tシャツが乾くまで』って心そそられるタイトルだ。なんとも含みを持たせるタイトルではないの!
「Tシャツが乾くまでなにかするの?」
「Tシャツが乾いたらどうなるの?」
「Tシャツが乾くまでの時間って、普通どれくらい?」
そんなことを毎回思いながら私はドラマを見ていた。どこに繋がるのだろう?って。
最初私は、充とあずさの出会いがコインランドリーで、洗濯乾燥が済むまでの時間のことを指していると思った。洗濯物(Tシャツ)が乾くまで、の少しの時間にお互いが夫や妻に言えないことを話題におしゃべりを楽しむ。が、それは充の失踪とあずさの事故死で早々に終わりを告げる。でもこれがすべてのスタートになっていることは間違いない。
さてそこから、樹生が高価な白いTシャツを気に入って、何枚も手に入れていること、咲子が丁寧にTシャツをたたむシーン、などTシャツは鍵となる。
そもそも充と咲子は庭が広いから洗濯物を存分に干せる、という理由で家を決め、購入した。そこには、「乾燥機付きの洗濯機」は必要なかったはずだ。私はそれが、結果的に別れに繋がったというストーリーに仕上げているのだと理解している。
乾燥機ありきになった結果、充はコインランドリーを利用することになり、あずさと出会ってしまった。庭に干せば出会うこともなかったはずだ。ま、それでも充の失踪癖は解決しないけどね。
咲子は「乾燥機にはフィルターがあって、掃除しなければならない」なんて知らなかった。知らなくても十分生活できた。充がやってくれていた。そうして成り立っていた。
乾燥機を使うことになり、知らなかったことを知らされた。それも他人に。「知らなくて良いこと、知らなくてもすむことを知らされた」というのもこのドラマでは重要ポイントだ。
最後にはフィルターが破れてしまう。それがきっかけではないが、ドラマとしてはそれを離婚のポイントのように表現していた。
最終回、充と咲子はシーツやカーテンなどの大物を洗い、2人で庭に干す。相手に知られないように霧吹きで湿らせたりして、乾くまでの時間稼ぎをする。もっと一緒にいたかった……。2人にとって、洗濯物が乾くまでの時間が結婚生活として一緒に居られる楽しくて安心できる時間だったのだ。そういうことだったのか、『Tシャツが乾くまで』って。
あたしの勝手な解釈ですけどね。
タイトルにあっぱれ!