「お姉ちゃん、『風、薫る』見てる?」

「あ、見てるよ」

先日、妹とNHK朝の連ドラの話になった。妹は2ヶ月前に海外より帰国し、最初からは見ていないという。

 

 私は実在の人物をモデルにした昔のお話が好きなので、今回も腰を据えて見ている。明治のナイチンゲールと呼ばれた大関和と鈴木雅をモチーフに展開しているお話だ。その時代には看護婦という職業が確立されていなくて、特に女性が働く、という点では厳しい世の中だった。社会に抗う、世の中を変える、そうして生きる彼女たちは懸命だ。悩みを抱えながら、仲違いもしながら、助け合いながら成長していく。そんな姿に心打たれる。医療現場でのドラマは、命がテーマにもなり、ずっしりと重たい場面もある。

 

 ただ、ちょっとすっきりしないのが、りんを演じている女優さんのこと。彼女自身を否定しているわけではないが、なぜあの人が選ばれたのだろう?今の世にあっても絶対に飛びぬけて小さいお顔、大きな目、顎が小さくて、どこからどう見ても、現代風のお顔立ち。ともすれば、未来風のお顔立ち。可愛いお顔にどうしても着物が不似合いで、ひたむきに看護を追究する白衣の看護婦というより、ドレスを着たメイドさんのよう。だからなのか、古い街並みにあっても、きしみが聞こえそうな木造の病院内にあっても、彼女がいると、違和感を感じてしまう。明治の世の中が見えてこない。

 

 そんな感想を妹に語った後で彼女が言った。

「ねえねえ、虎太郎って誰なの?」

「あ、そうか、最初の方を見てないものね。りんの幼馴染で、りんが結婚する前からりんのことが好きだったっぽい。りんが婚家から逃げる時も手助けしてたよ」

「でさ、あの小説家志望の人もりんが好きだよね?」

「あぁ、シマケンさんね。そうねぇ……」

 

「そもそもこのドラマはりんが主人公なの?それともりんと直美の二人?」

「えっ?普通主人公って1人じゃないの?やっぱ、りんでしょ!」

「そうなんだ~。だから仕方ないかぁ」

 と、実はここは違っていて、後から調べたら、どうも2人主人公みたい。そういうドラマ、あるんだ……。いつか妹に謝らなくちゃ。


 そしたら彼女が面白いことを言った。

「りんが2人もの人から好かれて(直美にはそんな話はなくって)不公平じゃないかって、思ったのよ。でも主人公がりんならば、仕方ないか」

 

 私はりんがずるいなんて思ったこともなかった。あ、妹はずるいとは言ってないか……。それって、女子高校生が

「ねえねえ、A子ばっかり男子に気に入られてずるくない?」

って言っているみたいで、JKの嫉妬心みたいで、妹がかわいくなった。妹といっても私の妹なんだもの、とっくに還暦も過ぎているのに。


 あ、2人主人公だったら、やっぱりりんばかりがもてて、不公平かしらん。でも直美にもそんな話がやってきそうな気配があったわ。2人の奮闘ぶりと共にそこも楽しみね。