黒板の上にはバッハとかモーツアルトとか有名な5人くらいの肖像画?が飾られていた。大きなスピーカーは茶色だったかな?向かって左側にはグランドピアノが置かれていた。私の通った普通の公立小学校の音楽室だった。が、いつだったか、1人1人にオルガンが与えられた。それはそれはびっくりした。

「他の小学校もそうなのかなあ?私の学校はお金持ちなのかなあ?」

 

 それまで木の机で、入学したてはハーモニカを習い、3年生くらいになると縦笛を各個人で購入した。今ではリコーダーなんてかっこよく呼ばれるけれど。今のように、鍵盤ハーモニカもなかった頃だ。それが、いきなり40台ものオルガンが音楽室に並んでいたのだ。オルガンのふたが水平になっていて、机として使える。教科書やノートレベルの収納もあったかな?もちろん脇にはフックがついていて、個人が持つ布の音楽袋ってものが掛けられるようになっていた。ふたを開けるとあの白黒の鍵盤が現れた。

 

 ある日、私は「出入口が1つしかない部屋に1人で閉じ込められ、ドアから化け物が入ってきた」という夢を見た。怖くて恐ろしくて、しばらく忘れられなかった。そして、音楽の授業を受けている最中に私は突然その夢を思い出し、教室を見回し、出口がないことに気付いた。

「こんなにすごいオルガンを買うより、出口をつけたらいいのに。何かあっても逃げられないよ」

そう、その音楽室は校舎の廊下の突き当たりにあり、2階だった。

 

 今回の小学校での火災、子どもたちはどれほど怖かったろうか。映像が流れてびっくりした。ほんの数十センチのひさしに寄り添うようにして子どもたちが座っている。しかもそこは4階だという。黒煙がものすごい勢いで立ち上る。


 怪我をしたお子さん、先生、お見舞いを申し上げます。怪我はなくとも心には相当な傷を負ったお子さんも多いと思う。最大限のケアをして、日常が戻りますようにお祈りいたします。そんな中でも先生や周りの大人、消防隊員さんたちの懸命な行動で、命が失われなかったことはまさに不幸中の幸いと言えよう。

 

 はっきりした出火原因はまだわかっていないが、一部、石油ストーブの存在が報道されていた。実は、私が小学校高学年の頃、我が家で、消防車を呼んでしまったことがあった。事なきを得たが、それが、まさしく石油ストーブだった。点火スイッチがあり、そこに物が落ちて、オンの状態になったのだ。そのストーブはいつもほとんど出入りのない狭い部屋の半畳の押し入れ?にしまわれていた。煙と何かが焦げるような臭いの発生源が、そのストーブだと、家族のだれもがなかなか気づかず、119番をしてしまった。昭和40年代のストーブ、ロックはあったのか、それからはストーブの改良も進んで、そんなにすぐに着火しない仕組みになっていたとは思うが、今回の火災でそんなことも思い出された。

 

朝日新聞より

 そして、思い出してみる。私の通った小中高校のいわゆる専科の教室というのは、必ず校舎の端、廊下の突き当たりにあった。廊下分だけ、スペースは広かったかもしれないが出入口は1つ。その部屋に非常用の出口や避難用のはしごやシューターはなかったように思う。ただ、家庭科室や理科室など火を使い、危険性のある教室は1階にあった。音楽室や図工室は、大体上階にあった。

 

 あれから50年以上も経つのに、安全第一とされる学校の校舎がそのままだったこと、音楽室に出入口が1つしかないことを改めて知り、即刻対策をして欲しいと切に願う。