母のケアーをしてくださっていたヘルパーさんのおひとりが事情で退職なさった。約1年ではあったが、とてもよくしてくださり、母も私たち子どもも感謝している。最後の日など、一緒に写真を撮って、母は涙まで流していたらしい。
足腰が弱り、ヘルパーさんの手をさぞかし煩わせていることだろうと思うが、
「いつも何度もありがとうを言ってくれます」
とみなさんがおっしゃってくださるので、よい関係性が築けていると私は喜んでいる。
一方の義父、先日困ったことがあった。「男性」「認知症」これは今さら、どうすることもできない。
ヘルパーさんの手を借りるようになって数ヶ月が経つ。最初の頃、若い男性の時や中年の女性の時と、その担当は定まっていなかった。すると義父が
「女の人だと、洗濯機を使いながらそのやり方を説明してくれるから、女の人がいい」
と言い始めた。もともとその洗濯機を使っていたのは自分なのに、だんだんと使い方が分からなくなってきたようで、そんなことを言葉にするようになった。
その他にも
「女の人の方がてきぱきと色々と気づいてやってくれる」
と言うのだ。私は、男女無関係で人によると思う。が、義父は昭和初期生まれ。「家事は男性より女性が得意」といったような特有の思い込みがあるようだ。というわけで、それをケアマネさんにお伝えして、女性という希望をかなえていただいた。
先日のことだった。女性ヘルパーさんが
「セクハラ言葉をかけられた(実際の言葉はここでは伏せますが)。なにか今日は気持ちが落ち着かなかったのでしょうね。こちらはお仕事ですから、大丈夫です。『ハイハイ』と言っておきました。一応お伝えします」
と言ってきた。その日は、終わりそうな時間帯に私が様子伺いに義父の家を訪ねていた。毎回ではないが、時に夫や私が様子を聞きに行っている。
私の方がドキドキした。
「申し訳ありません」
しか言えなかった。夫にその報告をすると、彼は苦虫を噛み潰したような顔をして言った。
「認知症とはいえ、困るよなあ」
義父が女性にこだわっていたのは、こういうことだったのか、という疑念まで生まれた。
その翌週から、ヘルパーさんはずっと男性に替わった。ケアマネさんからは何の報告もない。女性を希望したが、簡単に変更になったということだ。それだけその女性ヘルパーさんは嫌な思いをなさったということだろう。今のところ、義父から
「女の人ってお願いしたのに、最近は男の人が来る」
なんて話はない。
身内ならば軽くいなせることであっても他人ではそうはいかない。一方で身内が面倒をみてストレスをためてしまい、他人であるヘルパーさんの力を借りるしかない。高齢者の介護って本当に大きな問題だ。さらに義父の場合は「男性」「認知症」「足腰しっかり」の三拍子がついてきて、悩ましいところだ。
今後、大丈夫なのか、とても心配な私だ。