友人との年に1度のランチ、1対1で長いお付き合いになる。このお話はかれこれ10年ほど前の彼女とのおしゃべりの内容。
彼女が学生時代にお付き合いしていたお相手は医大生だった。私も何度かお会いしたことがある。結局、お別れして彼女は別の方と結婚した。別れの理由は聞いていない。
その彼は脳に障碍のある弟さんがいらして、それが理由で医者を目指していたらしい。浅黒い精悍なマスクの彼だった。
彼女は、結婚後も出産後もずっと仕事を続けてきた。ある時、仕事で調べごとをしていたら、偶然にもその方がとある大学の脳神経内科医としてご活躍だということを知ったと。
これには私も喜んだ。彼は夢を叶えたんだ。そしてそんなドラマのような繫がりがあるんだと、驚いた。あ、繫がりではないかな?彼女がその後彼に連絡をした、などという話には発展していないし。
私にはそういう彼はいなかったから今更どうもこうもないんだけれど、OL時代の仕事関係で、いわゆる「先生」と呼ばれる数人の方との交流があった。繰り返しますが、何のご縁もありませんでした。
が……しかし……その中のお1人の先生が私が結婚するということでお祝いをくださった。理系研究者でありながら、お堅いイメージがなく、おしゃれな先生だった。 当時流行ったウエスタンブーツで、登場したりする。もちろんウェアーも完璧なコーディネートです。すっごくお似合いでかっこよかった。
その先生からのお祝の品がこちら
友人のお話を聞いた後、その「ウエスタンブーツ先生」のことを思い出し、引き出しの奥から出しました。可愛らしいネズミさん。スワロフスキーです。そこから、目の届くところに飾ることにした。
ところが、先生の名前が思い出せない。お祝いをいただきながら、何と失礼な私……。彼女のようなロマンを感じる偶然なんて起こるはずもなく、自ら調べようにもお名前を忘れた、となったらもうアウトだ。そうして10年が経った。
いつもいつもそのお名前を思い出そうとしたわけではないのだが、先日、急に思い出した。ネズミちゃん効果か?古稀にも手が届く年齢になって、こんなこともあるのね。年と共に退化していくばかりの記憶力、と思いきや、突然に出てきたお名前。しかもフルネームで。
早速検索欄にそのお名前を打ち込む。先生は、ある国立大学の教授になられていた。分子なんちゃらとか私にとって、意味の分からない分野の研究をなさっていた。論文がたくさん載っていた。さすがに20代から60代へと40年以上経ち、お顔がふっくらなさっていたけれど、かっこよさは健在だった。すぐに分かった。改めてインターネット検索のすごさを知った。
さらに人の脳の不思議も感じた。私も捨てたもんじゃないな。
「先生、お元気ですか?その節はお祝いをありがとうございました」
って、先生は忘れているだろうな。



