何を隠そう、「優しい小姑」とは、私のことです。 自分で言うのもなんですが。少なくとも意地悪な小姑ではないと思う。

 

 以前、新聞で見た。

「離れて住む息子のところに近々初孫が生まれる予定。生まれたら、すぐに夫婦で会いに行きたいが、日帰りはきつい。息子の家に泊まるのはどうだろうか?」

というご相談にいろいろな立場の人が答えている。

「嫁の立場としては、絶対に来てほしくない」

「生まれたての赤ちゃんのお世話で手一杯のはず」

お嫁ちゃんとして当然の意見。


 両親側立場の人は

「自分もまったく同じ体験があり、無理して日帰りで初孫に会いに行った」

と答える。その他

「まずは息子さんに聞いてみては?」

「近くにホテルをとって泊まったら?」

など様々。

 

 その昔、弟たちが海外転勤先から一時帰国し、日本滞在中に子どもの七五三をやることになった。弟夫婦は関西に住んでいたので、両親は新幹線を使って向かうことにした。日帰りは無理だったので、1泊することになったが、弟から

「ホテルを予約したから」

と連絡があったらしい。


 それに反対したのが父だ。

「せっかく行くのに、ホテルとは!この機会に家族が住むマンションに泊まりたい」

孫と一緒にお風呂にでも入って寝たかったのだろうか?穏やかではあっても道理を通すことにはうるさい。昭和一桁男性ならではの理だ。私も父の言うことはわからなくもない。


 結果、両親は弟家族の住まいに強引に押しかけた。

 

 両親が戻ってから聞いた話だ。私の前でその時の話をする。母までもが

「きっとA子さんが言い出したことだと思う」

なんて言い始めた。私はそういうのを聞くのが大っ嫌い。この時ばかりはマシンガンのように言葉が出た。

「弟に『オヤジ、ホテルは予約しておいたから支払いはしてくれ』とでも言われたの?そうじゃないんでしょ?支払いは弟なんでしょ?『やったぁ~』と思って大人しくホテルに泊まっちゃえば良かったのよ。私はおとうちゃんとおかあちゃんがイヤな思いをした、って話を聞くのがイヤ」


 母が言う。

「A子さんが始終不機嫌で、せっかくのお祝いなのに嬉しくなかった」

そこに私が上から被せる。

「だから~、当たり前じゃん!家に義両親が泊まるとなったら大変なのよ。お布団だって借りなくちゃならないし。海外にいる家族が日本に戻るっていったら、最低限生活できるレベルのものしか置いてないよ。なんで『わかったよ』って言って素直にホテルに泊まらなかったの?なんならホテルで豪華な食事してツケにして弟に払わせればよかったのに」

 

「おかあちゃんだって、A子さんのことそんな風に言うもんじゃない。『海外勤務の旦那さんについていきたくないから子どもと一緒に実家で生活する』なんてお嫁さんの話も聞くよ。何の迷いもなく、自分のおかあさんを1人残して海外で弟のためにやってくれているんだから、最高じゃないの。もしも弟が結婚しないで、この家に居たら、お世話しなくちゃいけないのはおかあちゃんなんだよ。A子さんは喜んで海外に行ってくれたんだから、ありがたく思わなくちゃ」

 

 両親は自分たちは正しい、娘はきっと

「弟もどうかしてるわ」

と賛同してくれるに違いないと思っていたかもしれない。それが正反対の対応……。

「同居もしてない。たったの1泊なんだよ。それくらい何とかしてくれても良いじゃないか」

なんて言いたいことはたくさんあったようだが、私の勢いに負けて、黙ってしまった。

 

 今思い出すと、よくもまあ、親に向かって言えたもんだわ、と反省もする。かわいそうなおとうちゃんとおかあちゃん……。娘にこれでもか、と否定されて。


 その当時、私は40歳を超えた辺りだったか?母とは違う、と思いながら、

「最近、母に似てきた」

なんて言って、最近どころか、ずいぶん前から既にこれだった……。自身の親に向かってこれでもか、と発言するところ。相手はぐうの音も出ない。



 けれど、私、A子さんにとってはまあまあの小姑だと思うわ。