私は高校に入学した時、その入学式の日にズッキューンと心ときめく男子に出会った。まさしく一目ぼれってことだ。Oくんだった。

 

 小学生の頃には少し気になる男の子もいたし、中学校時代には憧れの先輩もいたし、好きな男子もいた。けれど

「今回は恋だわ」

と確信した。それから毎朝、会えるのが楽しみで朝早く登校した。彼も早く教室に来ていたので、2人だけでおしゃべりすることもできた。最初の頃は

「おはよう」

のひと言が恥ずかしく、今思えば、なんと初々しい私。その彼に告白することもなく、なにもなく卒業を迎えた。

 

 その後、大学時代に知り合った彼、付き合うというほどでもなかったけれど、数回はお酒を飲みに行ったり、スポーツ観戦したりした。その男子友だちの名はやっぱりOくん。

 

 さらに、結婚してパートを始めたときに出会った女性がとても素敵な方で、年下ではあったが、見習いたいと思うところたくさんだった。Oさんだった。

 

 先日、定期的に通う心療内科の日だった。年1回の血液検査と、腹部エコーがあり、その後主治医の診察があった。いつもの通り、穏やかにいろいろなお話を聞いてくれ、冷静にアドバイスをくださる。かれこれ5年になるが、安心して頼り切っている。

 

 いつかこういう日が来るとは思っていたが、その先生、私よりも10歳ほど上の男性、いよいよ2年後にはご退職ということで、

「どのようにするか考えてください。ご自宅の近くの先生に診ていただくということでしたら、診断書、紹介状などを用意します。もしくはこちらの病院で、もう1人同じ科の医師がおりますので、その先生でもいいですよ」

と言われてしまった。


 ご高齢の患者さんは、通うのもしんどくなってきているので、これをきっかけに近くのお医者さんを探すらしい。それ以外の方は、すぐにもう1人の先生に変わる方と、今のところ2年間の猶予期間があるので、その間に考える方と半々くらいらしい。

 

 ちょっとショックだが、仕方がない。さぁて、どうするか?心療内科なんて自宅近辺になかなかあるものでもなく、私も高齢者だけれど、通える限りは電車であっても通院したいと思う。2年間は今の先生にお願いしたい。


 そしたら、もう1人の先生のお名前がO先生。これにはびっくり。

 

 Oという姓は、鈴木佐藤田中のように多くはない。日本人の名字ランキングで100位以内には入っていないようだ。私は、ここに登場する方以外にOさんには出会っていない。

 

 この機会に、思い切ってO先生に診てもらうこととしようか‥‥‥。