2~3年くらい前から、私はこの時期に目が痒くなった。花粉症だな、とすぐに思ったが、他の症状はない。くしゃみや鼻水、鼻づまりなんて考えただけで辛そう。幸いにも何とか耐えられるレベルだ。ただ1度、眼のふちを爪で柔らかく掻いてみた。そしたら、その後、しばらくとんでもなく痒くなって、これはもう、さわらないことが1番だと決意した。ひたすら我慢の修行のようだ。目薬もあまり効果を感じない……。

 

 現在、日本の花粉症の患者は半数を超えていると聞く。どうしてそうなってしまったのだろう?環境?身体そのもの?食べ物?私が小さい頃、そんなものは聞いたことがなかった。

 

 次男が3歳の頃、風邪とは違う変な咳をしていて、気になって病院に連れて行った。アレルギーの検査をし、その時に

「花粉症、値が出ていますね。いつ発症してもおかしくないです」

と先生から言われた。

「えっ?こんなに小さくてもなるんですか」

「ウチの患者さんで一番小さい子は生後半年です」

 

 ショックだった。当時は夫も私も花粉症やアレルギーなんて無縁と思っていたから、次男にはかわいそうなことをしたと、自分を責めた。案の定、中学生になる頃、次男はくしゃみが増え、鼻水、鼻づまりが始まった。見ているこちらが辛くて、病院や薬を勧めるも

「大丈夫!」

と言って、彼はそれらに頼らなかった。

 

 夫が5年ほど前から

「おかしい‥‥‥。けど、オレは認めない」

とか言って、気合いではねつけるようなことを言っていたが、最近は

「やっぱり花粉だな」

と折れ始めた。


 ということで、次男は25年の病歴を持ち、親である私たちの大先輩である。すると、いつからか定かではないが、長男長女も患っているそうで。さらに、孫たちは皆、何らかのアレルギーを持ち、肌も保湿剤が欠かせない。


 私が小さい頃からあったの?耳にはしなかったけど。今では毎日天気予報の際に必ず花粉情報が発せられる。

 

 が、思い出したことがある。私が中学校に入学し、同じクラスになったせっちゃん。大きなきれいな目が魅力的で、歯並びも良い美人さんだった。それがね、いっつも目が痒いと言って朝から親指と人差し指を使って目を大きく広げ

「息、吹きかけて!」

と近寄ってくるのだ。しかも男女問わず。むしろ男子多め。

 

 「かわいい子」じゃなくて本物の美人だったと私は思っている。どんな人を相手にも自分をとりつくろったり装ったりすることのない明るい彼女だった。大きく口を開けて笑う自然体女子だ。それでもそんなことをしていたら一部の女子からは嫌われる。男子がこぞって面白がって彼女の顔に自分の顔を近づけて

「フーーーッ!」

っとやるのだから。


 何人かが

「せっちゃん、やめた方がいいよ。大体から他人の唾液を顔に浴びるって衛生的にもどうなのよ?」

と言うけれど

「痒くてたまんないのよ。でもさ、取り出して掻くわけにもいかないじゃない?それに、女子より男子の方が強く吹いてくれるから、効果がある」

とかで。

 

 今思うに、あれは絶対花粉症だったのではないか?当時、そんなこと、聞いたこともなかったから、彼女がわざとやっているんじゃないかなんて、噂までたっていたっけ。

 

 かわいそうなせっちゃんは、結婚して旦那さんのお仕事で海外にいらしたそうだ。今更ながら

「スギやヒノキの無い国だったらせっちゃんも快適に暮らせただろうな」

なんて思う私だ。


 この国民病、なんとかならんものかねぇ。