母は律儀な人で他人さまから何か物をいただいた時など、必ずお返しをする。どうかするとそれ以上のものをお渡ししたりする。それはお金で買ったものだけに限らず、手作りのお惣菜だったり、毛糸で編んだマフラーやセーターだったりする。だから、父は生前
「おかあちゃん、それは相手にとって迷惑になる場合もあるんだから気をつけなくちゃあ」
とよく言っていたが、母はやめない。結局
「おかあちゃんは人との物のやり取りが好きなんだなあ」
と父は無理矢理自分を納得させていた。
父の命日が近い。当時はコロナ禍で、親族とほんの近しい人だけの葬儀となった。すると、あとから知った方からお香典が届いた。もちろん一斉にではなく、ぱらぱらと‥‥‥。頂戴しておいて誠に申し訳ないですが、これが結構厄介だった。母は、その都度
「お返ししないと……私は行かれないから街へ出てbeachan何か送ってちょうだいね」
となる。もちろん、父が生前お世話になった方々だもの、「香典返し」は必須。
そんな中、私の友人グループがやっぱりお花を送ってくださったのだが、そこに手紙があった。お悔やみの言葉のあとに
「beachan、お返しは無しね。もう、その分のお代は引いてあるから」
って。
この時に限っては母も私も泣き笑い。友人たちと私の関係性がそうであるということなので、すべての人に使える言葉ではない。でもジョークもきいていて上手な言い回しだなぁ、と思った。母も
「beachan、頭の良いお友だちがいるねぇ」
と。
この言葉、この後私も使わせてもらっている。