「明日、東京駅で朝ごはん食べようと思うので、悪いけどよろしくね」
「あぁ、大丈夫。楽しんでくればいい」
 
 前夜夫とそういう会話をして、当日早めに東京駅へ向かった。「ここまで来ればJR1本」という駅に到着すると、人身事故で中央線がストップしているではないの!私はこういう突然のトラブル対処が非常に弱い。慌てる。だから、前以てアレコレ考えて不測の事態に備えるタイプ?になっているのに、今までそれが役に立ったことはない。想定外のことが起こるのだから。
 
 旅慣れている人やデジタルに慣れている人ならなんということもないのかもしれない。私は
「間に合わなくてもなんとかなる。命を取られるわけじゃあるまいし」
の根性で頭をフル回転させる。スマホで迂回路を検索すると、3パターンほど出てきた。さあ、ここでどれを選択するか?
 
 もちろん最速が1番だが、どれも大きな差はなく、
「地下鉄に乗ると東京駅で痛い腰をかばって走ることになりそう」
という理由で、JRを選ぶ。JR繫がりってだけでの素人判断だ。そう、山手線内回りです。間に合うかどうか、ギリギリ。こんな時は駅での人々の乗り降りにまでチェックが入る。
「あ~ん、そんなにのんびりしてないで、さっさと降りて(乗って)よ~」
自己中な私です。だからと言って電車の発車が早まることはないのはわかっている。時刻表があるのだから。こんな時、
「時間調整のために当駅で停車します」
なんてアナウンスがあったら、私、どうなる?腹をくくったつもりなのに。
 
 ハラハラしながら車内の、路線図に駅間の走行時間が表示されているアレを見ていた。
「そういえば、『高輪ゲートウェイ』って、新しい駅ができたんだっけ」
今の私には恨めしい。

 ふと
「あ、品川から新幹線に乗れる」
ということに気付き、自分を誉めた。普通の人なら、なんてことのない気付きでしょう。最初に事故を知ったときにそれくらいのこと、すぐに思いつくのでしょう。
 
 品川駅新幹線ホームにはなーんにも売ってなくて、あるのはドリンクとアイスの自販機のみ。私は新大阪まで、朝食抜き、持参したペットボトルと飴で過ごした。
 
 雲が多く、富士山も見えず、名古屋辺りから、雨も降り出し、私はあの144番最下位を再認識した。
 
 新大阪、さらには最寄り駅の夢州で、その人の多さに既に心くじけた。でもここまで来たのだから、入場はしなければ。持ち物検査は長蛇の列だ。待っている間、腰の痛みを逃すべく、左右に揺れながら、足踏みしながら、何度も
「列を抜けて、別の観光地に行こうか」
と思った。思いが揺れまくり。
 
 最後は「大屋根リング1周」という私の最低限の目標がある。そちらが優った。
 
 1時間ほど並び、やっと会場入りできた。

これは撮影必須ですOK

 

 傘を差しながら、地図を持ちながら、スマホで当日抽選のパビリオンの予約をしながら、大屋根リングを目指す。

 

予想以上に大きかった。そして美しかったびっくり


反対側は雨でかすんでよく見えない悲しい
 

入ったわけでもないのに、リングの上から見た建物が美しく、写真におさめたラブ
 
 その間、抽選結果の落選が何度も届き、手当たり次第に申し込めるものはやってみたが、結局最後まで落ち続けた。
 
 予約しておいたフードコートでひと休み。これはとてもリフレッシュできた。隣の若いお嬢さん方、予約抽選を通過し、イタリア館を回って来たそう。その他にもベルギー館とかコモンズ館とか並んだって。
 

アルコール、隠れていますグラサン

 

 そうして元気をもらい、ほとんど並ばず、待たないパビリオンを求めてさまよい歩く。そして入ったけれど、滞在10分足らず。待たないってことはそういうことなのね。そして、私は短時間で作られたその国の文化というものには興味がないらしい。一方で、自分が動いてノルマを果たすってことには結構前向き。

 

 小学生の自由研究にもはるかに及ばない私の万博記録。まとめます。

 

 1人おでかけ、1人旅は、自分が心の底から行ってみたい、見てみたい所に限るべし。そうでない所は、やっぱり家族や仲間と一緒に巡って、どうでもいいことを話題にして笑うべし。万博に必要なのは、

「絶対に見てみたいから長時間並ぶのは何ともないという根性」

「抽選に当たる強運」

を持ち合わせているってことかな。

 

 でも大屋根リング1周には満足した。

 

 おしまい