大輔は、大学時代に合コンで知り合った純子と教会で結婚式を挙げた。
「今じゃあ合コンなんてやらないのだろうな。マッチングアプリとかで知り合うのだろう」
大輔はそんな今が受け入れられない。人との付き合いはやっぱりアナログがいい。直接人と会うことが好きな大輔だ。電話もするし、手紙も書く。
「やっぱり自分は昭和の人間だ」
純子は、結婚する前、専業主婦になりたいという夢があったと言っていた。大輔が
「そんなことが夢でいいの?」
と聞いた時、彼女は口をとがらせて
「そんなこととはなによ!」
と言い返してきた。
「お安い御用だよ」
と言った大輔にすぐに笑顔を向けてきた。それがプロポーズとなったのか。あの時のことを思うと、純子には申し訳なかったと思う。もっとサプライズとかドラマチックなプロポーズをするべきだったかな?
よくもまあ、堂々と言えたものだと思う。「お安い御用」とは‥‥‥。今は経済的な理由で結婚に前向きになれない若者が多いと聞く。「なんとかなるさ」って思考は現代には通用しない。
彼女は結婚してから専業主婦として家のことも1年後に生まれた翼の子育てもよくやってくれた。大輔は子育てにも協力的ではあったが、仕事が忙しく、出張なども頻繁にあり、なかなか家事育児の時間が取れなかった。彼女の実家が近かったのは幸いだった。
彼女の実家は幼稚園を営んでおり、大輔はてっきり彼女が継承するのだと思っていたが、そんな気配は微塵もなかった。
「そうだよな‥‥‥。彼女の夢は専業主婦なんだから」
普通、を幸せというならば、大輔と純子の生活は十分すぎる程であった。
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