大学生の頃、週に数回バイトをしていて、その帰りにバスを使っていた。大体20時くらいに利用していた。ある時、中学時代の同級生男子とバッタリ会った。卒業以来だったから、最初はお互いに

「あれっ?」

「もしかして‥‥‥」

だったけれど、話し始めたらあっという間にその時代に戻れる。懐かしい思い出話に花が咲く。

 

 その彼、なぜかとってもモテた。私にとっての「なぜか」です。というのも決してイケメンでもなく、背が高いわけでもなく、むしろ小さい方。スポーツはどちらかと言えばできたが、勉強は下から数えた方が早い。そしてチャラ男。と、何とも失礼なもの言いですが。学年男子約200人、かっこいい男子は他にいるわけです。頭も良くて、スポーツ万能な男子もいるわけです。優しくて面白い男子もいるんです。もちろん真面目な男子だってたくさんいます。ホントになぜ?だ。

「オマエに言われたくない」

という声がとんできそうですが。

 

 当時、私が知っているだけでも4~5人の女子が彼のことを好きだった。しかもその中のA子ちゃん、学年トップクラスの才女、スポーツもできるよく笑う女の子。彼女が彼のことをしゃべる時、頬を真っ赤に染める。そこがかわいかったけれど、それこそ、

「どうして彼なの?」

と言いたかった。

 

 私が想像するに、彼は人懐っこいタイプで愛されキャラってところかなぁ?彼のことを好きな女子に聞いてみても

「全部が好き」

って言われちゃうから私の謎はそのままだった。

 

 その彼と20歳の頃、再会したというわけだ。彼は既に建設業界で仕事をしていた。帰りの時間帯が大体同じで、何回か会うようになり、

「今度、先輩がやっている居酒屋で飲もうよ。○○というバス停で降りてすぐのところなんだけど」

と誘われた。彼の魅力を知りたくて、私は思わず頷いていた。

 

 その日はやってきた。先輩は20歳くらい上の店主だった。カウンターだけの狭い店だった。客は私たち以外に2人の男性。何を話したのか、何を食べたのか、全く覚えていないが、先輩も一緒にしゃべったりして笑いあった。あ、ビールを飲んだな。お支払いは彼がしてくれた。最後の最後まで「割り勘」を粘ってみたが、押し切られた。おごってもらっておいてナンですが、彼の魅力、わからなかった。

 

 それからひと月ほど経って、又バスの中で彼に会った。そしてこんなことを言われた。

「この前、先輩が『オマエ、付き合うならああいう子を彼女にしなくちゃ』ってbeachanのこと言ってたよ」

 

 これか~これなんだろうなぁ~こういうところなのか~。もちろん、中学時代に多くの女子にこんなこと言ってたわけじゃないけれど、こういう類いのことが頭に浮かび、サラリと口にできちゃう。


 私は嘘だろうとわかっていたから、ちっともなびきませんでしたが。素直に喜べない私だから、モテないんだろう、とこの時自分を客観的に見た。

 

 彼は今、バツ2を経験し、3人目の奥さんと暮らしているらしい。7人の子どもがいるって風の便りで聞いた。