携帯電話の着信音が鳴った。ライン電話のメロディーではない。夜7時、これは母からにきまりだ。
「昨日からお風呂とトイレの電気がつかなくて、電話もできないから誰にも伝えられないし。今、電気屋さんに行ってきたら、お兄さんが来て直してくれた」
色々な質問をするが、なんたって母の耳は遠い。私が聞きたいことに明確に答えてはくれない。電話をする時くらい、補聴器を付けてほしいわ。挙句の果てに
「今日はbeachanが来てくれると思った」
だって。
私は平日仕事だって、いつも言っているよね?退院後は気になるから、時々朝実家に行くけれど。行く日を決めているわけじゃないよね?なぜ決めつける?
退院直後はそれはそれは心配して、結構実家に行ったけれど、母がほぼ以前の生活に戻れたことで、私もゆるみがでてきたかな?母に厳しくなっちゃったかな?ごめんなさい。
こちらの質問に答えられない母の相手をしていてもらちが明かない。
「わかった、わかった。大変だったね。一人で電気屋さんまで行ったのはすごかったね。明日は朝、行くからね」
小学校1年生を相手にしたような声掛けで電話を切った。
いつもお世話になっているその電気屋さんに電話をする。風呂場近辺の電気のブレーカーが落ちていたらしい。風呂、トイレ、脱衣所、 廊下にある電話などなど。
「原因は分からないので、たびたび起こるようだったら連絡をください」
とのことだった。ここの電気屋さんは実家の近くにあり、両親がとっても頼りにしていたところだ。以前から電気関係で困りごとがあると、足を運んでいたようだ。今回の母の入院中も
「いつも雨戸が閉まっていてどうしたのだろう?」
と心配してくれていた。こういう方が実家の近くで母を見守ってくれていると、本当にありがたい。
さて、翌日実家を訪れると、心配性の母は、
「次にまたこんなことが起こったら困るから、修理して新しくして安心して暮らしたい」
と言う。そこは
「ちょっと待って。電気屋さんによく聞いてみるから」
と、とどめた。無駄なお金は使いたくない。
すると
「これも壊れちゃったんだよ。ヘルパーさんが気づいて、『危ないから使わないでください』って言われた」
と、見せてくれたのがドライヤーだ。
いや~、これがブレーカーが落ちた原因じゃないの?発火しなくて良かった。大ごとにならずによかった。誰も怪我しなくて良かった。ホッとした。
それにしても物持ち良すぎ!このドライヤー、何年使っているのか?ずしりと重たいし。こういうこともこまめに確認しないとやっぱり高齢母の一人暮らしは危険がいっぱい。
もうすぐ妹が日本にやってくる。お出かけ、おしゃべりができるのを楽しみに待っている。一方で母のこと、お願いすることになるだろうな。
「すまんが、よろしく~」

