翌日も伯母さんから電話があった。夫が出た。
「子どもたちに怒られてる。とにかく領収書を送って頂戴!これでもう終わり!」
完全に怒っている様子だったという。終わりって、縁を切るってこと?それほどの勢いだったらしい。
そうして、夫はやっとのこと、自分が差額を渡して謝罪して、この問題は終わりにしたいと言い出した。
「こんなことなら、振り込みにしてもらえば良かったよ」
と、すっかりしょげかえっている。自分の動きすぎが徒になったと。はいはい、そうです、正解は振り込みです。
伯母さんは子どもたちに
「おかあさん、お金のことは、自分1人で進めないで、僕ら私らに相談してくれ」
とでも言われたのではないか。そして
「それくらい私にだってできる」
と反発心が芽生えてしまったのではないか。余計に伯母さんの心に火をつけたようだ。それを
「子どもに怒られる」
と言うのだから。
結果、夫のもとに従兄弟さんから電話があり、夫は
「自分の責任だからお金を渡したい」
と伝えたようだ。すると、
「○○くんが『自分が至らなかったから』とは言ってくれるが、全額負担してもらうのは申し訳ない。母親のことを近くで見守っていない自分たちにも責任はあるから、自分たち兄弟姉妹も含めて相談した結果、その金額を人数割りして平等に出すことにしましょう。××円を口座に振り込んでください」
と言われたらしい。
オオゴトになってしまったなぁ……。オオゴトにしてしまったなぁ……。
しかし、翌日、夫は従兄弟の口座に全額振り込んだ。その後
「伯母さんと私との2人の間の齟齬。私の不手際。それで伯母さんとの仲が悪くなるのは本意ではない。どうか、これで収めていただきたく、よろしくお願いします」
という連絡をしたらしい。
はてさて、これでうまく事は運ぶのか?私は心配。そして、思うことが2つある。
1.夫が従兄弟さんに振り込むのではなく、直接伯母さんにお金を渡し、謝罪に伺うべきではないのか。でも火に油を注ぐことになっても怖い。
2.高齢の母を持つ私も他人ごとではない。そうなったら、私はどうするか、考えてみた。
まず、詰問口調にならないよう気をつけて母に言ってみる。
「おかあちゃん、こうなったらどこからも証拠は出てこないのよ。もうさ、今まで○○くんにはいろいろと良くしてもらったじゃない?かわいい甥っ子へのおこずかいだと思ってあげたことにしちゃったら?そうして気持ちを治めたら?」
それに対し、母が難色を示すようであれば、少し日をあけて、私が母にその金額を払ってしまう。
「○○くんの勘違いだったみたい。返してくれたよ」
と言って。そして彼には
「○○くん、母は高齢だから、訳の分からないことを言うようになっちゃって。でも○○くんの言う通りかも、と納得したみたい。色々お世話になってありがとうございました。これから変なことを言っても気にしないでね」
と言っちゃう。
何より、この問題がうまく終わりますように。お彼岸にはいつものニコニコした伯母さんの顔が見たい。