手先の不器用な私だが、刺し子をしたことがある。友人が
「布きんとして使って」
と言って、手作りのそれをくれたことがきっかけだった。
その晒布巾の使い勝手の良さに惚れた。なにしろ吸水と乾きがよい。自分でも作ってみようと手芸屋さんを訪れた。すると、あるある、いろんなデザインのものが。
その後、我が家に「晒」ってものが長年放置されていたことを思い出した。第1子妊娠中に母に
「どうせ暇なんだからおむつでも縫いなさい」
と晒を渡された。和裁をしていた母は、色んな事に役立つ晒を何反も持っていた。母が1枚手本を作ってくれて、私は毎日チクチクと縫った。80枚ほど縫った。
晒って、昔は生活必需品だったようだ。雑巾、三角巾、包帯、着物の下着や補正用、そうそう男性下着、ふんどしも晒だった。って、私は男性の祭りの姿しか見たことはないが。
ご近所さんと道端で立ち話をした時、何気なく私が
「あ!今ね、刺し子をやっているの。お裁縫が苦手なんだけど、晒が余っていて」
と言ったら、
「あ!ウチにもあるから持ってくるわ。どうせ使わないし‥‥‥」
「ウチのも使ってくれな~い?」
「捨てるに捨てられない」
ということで、どんどん集まっちゃった。昔はどこの家庭にもあったんだね。それが、使わなくなってそのままにされてきちゃったのね。
そうしてこの度、全ての晒が布巾に生まれ変わりました。途中、何度も空白の時を挟んだが、年初めに
「今年こそ、仕上げなくちゃ」
と思ったのだ。
一番簡単な模様を描きながら、チクチクと。長男のおむつ縫いから40年が、刺し子を始めて30年以上が経っていた。
ホントはこの時期、お掃除しなくちゃいけないよね?いやいや、もう正月準備だわ。チクチクしている場合じゃない。

