我が家の近くにお住いのご家族のお話。
奥様がホント奥様なんです。時折混じる関西弁?というかイントネーションに、おそらくそちらがご出身のようだ。お高く留まった感じもなく、ケラケラとよく笑う明るい方。お出かけの際に、ブランドのワンピースとハイヒールをお召しになりながらも、穴の開いた日焼け止め手袋、手作り風の布バッグ。そして、週に1度は高級エステ。
お子さん全員小学校から大学まで私立。お一人は国立大学に進学されたとうわさで聞いた。大学院に進学されたお子さんもいれば、海外留学中なんて話も。医学部の息子様もいらっしゃると、とにかくその学力は当然ですが、経済力にあっぱれ。
奥様は専業主婦ですが、裕福なお宅に生まれ育ったらしい。当然ご主人は一流企業お勤めだ。数回お見かけしたが、寡黙だが、エリートオーラが出ていた。
奥様から聞いた話です。
ご主人が出勤の際、最寄り駅まで自転車を利用しているらしい。そして決まった駐輪場に停めている。あ、そこは、タクシー、ハイヤーを使わず自力移動をなさっているのね。そんなところも親しみが持てて、周りからの好感度も高いです。
ある時ご主人が
「どうも鍵の調子が悪い。なんか引っかかる感じ」
と言い始めたが、
「量販店で買った安物だから仕方がないのよ。どうせ乗りつぶしちゃうんだから、いよいよとなったら買い替えればいいわよ」
と奥様。
ご主人は一週間ほど我慢したが、
「今日は歩いて駅まで行くから鍵を付け替えておいてくれ」
と。奥様は鍵だけお店で新しくしてもらったらしい。
さて、そこから‥‥‥。
ご主人が窃盗で捕まってパトカーで警察署に連れて行かれた。電話をもらった奥様、事情説明と身元引受けに署まで行った。
聞くところによると、まったく同じ自転車、全体の古さ具合、さび付き具合、見た目には違いがわからず、ご主人は他人さまの自転車を自分のものと信じて、疑いもせず何日間も乗り回していたってこと。お相手さんから盗難被害届が出されていて、警察も探していたらしい。もちろん同じメーカーさんの大量生産だから、鍵もそれほど精巧なものではなかったのだろう。ガチャガチャしてたら別の鍵でも開いちゃった。
本人に窃盗の意思はまったくないが、なんでも「鍵を付け替えた」ってところが「確信犯」になっちゃうそうだ。そう、その「確信犯」という言葉、間違って理解している方が多い。私もそうでした。
「悪いことと分かっていてする犯罪」
ではなく、本来は
「本人が悪い事でないと確信してなされる犯罪」
ということだそう。
そして、さすがの奥様
「ということで、うちの主人、『前科一犯』なんですよ~」
とケタケタ笑いながら教えてくれた。
みなさまお気をつけあそばせ!