この私が心療内科に通うようになるとは思ってもみなかった。

 

 10年以上前になるだろうか?からだのあちこちで、チクッとした痛みを感じるようになった。1日に何回も。仕事中というか、昼間はあまり感じない。夜、食事後の洗い物も済んで、洗濯物もたたんで、ゆっくりとテレビを観ている時、寝る前、などに感じることが多い。それは、例えるなら、静電気のビリッが、弱くなったピリッとでも言おうか‥‥‥。こういうことってなかなか伝えるのが難しい。

 

 お腹、背中、お尻、手足、顔、とにかく全身。足だって、かかともあれば太もももある。手の甲もある。そうねえ、血管の中を小さな針が血液と共に流れていて、それがたまーに悪さをして、横に逸れて血管の壁をチクッとさせる感じ?

 

 最初は放っておいたが、だんだん気になってきた。気になると、感じやすくなる。そして、私は医療に詳しい友人に相談してみた。すると彼女も

「聞いたことないから、痛みのクリニックとかで診てもらったら?」

と言う。

 

 私は早速、ネットで病院を探し、予約を入れた。それも驚きの3か月待ち。確かに痛いって辛い。こんなに待っている方がいるんだ。それに比べれば私は耐えられないこともない。ただ原因がわからないのは不安ではあった。

 

 その日がやってきた。その間、回数が増えた感じもするし、変わらない気もするし。予約の時間を2時間近く過ぎて、やっと名前が呼ばれた。こういった専門外来では仕方ないのかな?ただ、その間に見た光景に私の心は乱された。

 

 ソファーに座りながらも隣のおかあさんの膝に横になっている女子高校生。ときどき開く目はうつろだ。お母さんは、彼女の腕をゆっくりとさすっている。

 

 親子なのか、高齢男性は車いすに座り、中年男性が補助している。そして、言い争いをしている。

「車いすの扱いが下手だ!」

そんな声が聞こえてきた。痛みがストレスとなり、暴言を吐いてしまうのだろうか?

 

 そこかしこのそうした状況を見て、医療現場で働く人々を改めて尊敬する。

 

 検査は多岐にわたった。血液検査はもちろんのこと、血圧だか血流だかをを足の指だったかふくらはぎだったかで測ったり、心電図は横になっていつものように測ってから、立って測る。

 

 10ページ以上もあるアンケートみたいなものもあった。「おおいにあてはまる」「あてはまる」「どちらともいえない」「どちらかといえばあてはまらない」「まったくあてはまらない」なんて、最初は真剣にやっていたけれど、途中からいい加減になった。

 

 先生はとても優しく、丁寧な40代くらいの男性だった。

「痛みやしびれは、『冷え』と『怒りの感情』が最もよくないんですよ」

と言われた。そうそう、初めての受診は2月だった。

 

 私からは現状説明をし、検査結果は次回ということでその日は終わった。待合室で多くの人がいるのが気になって、早く終わらせてもいいと思った私に反し、先生は目を見てしっかりと話を聞いてくださった。時々質問もあった。その場で診断はつかなかった。

 

 とにかく病院というところは疲れる。

(いつか②に続きます)