1泊だけれど妹と旅に出かけた。ここ数年は食事やお茶などを楽しむようになったが、お泊まりは初めてだ。今回妹がすべて手配してくれた。
選んだのは川越。お互い行ったこともあるが、年上の私の疲れ具合を心配してくれたと思う。自宅からもそれほど遠くない。ガッツリ広めの観光地ではなく、コンパクトに見所が詰まっている地を選んでくれたようだ。
乗ったことの無い「小江戸」という特急列車で西武新宿から本川越へ。あっという間についた。
それからは「喜多院」「氷川神社」「時の鐘」「熊野神社」など有名どころを散策した。一度はお参りもしたけれど
「ここは……いいっか?」
で見るだけ。「ここは」の基準もはっきりしないが。御朱印帳も持たない二人です。そして行き当たりばったり旅となる‥‥‥。大体おしゃべりばかりだし。
珍しいものには喰いつく。川越で有名なサツマイモのおみくじ、やらないのに写真は撮る。
おたまですくいます
半紙のような薄い人型の紙を小川に浮かべ、鳥居をくぐらせる。身体のけがれを祓うという意味があったのに、少しずつ溶けて
「片腕がちぎれた」
だの、
「首が取れた」
だのキャーキャー言いながらも二人共、からだの一部を残しながら結構長く流れていった。
「長生きできるかもね」
と勝手に解釈する。だから~「けがれを祓う」っていわれてるでしょ、……高齢者の私、すぐ忘れる。
参道の両端にいろいろな石が敷き詰められていて(足つぼマッサージのようになっていて)多くの人が列をなしていたので、私たちもやってみる。
どこも「神社」と言っても色んな趣向を凝らして人寄せをしている感じがする。地元の高校の漫研が大きなベニヤ板に女の子の絵を描いて立てかけてあったり‥‥‥。そういえば、川越はアニメの聖地でしたね。
反対に、「二拝二拍手一拝」は誰もが知るところとなり、鳥居をくぐる時にも頭を下げる。
「私たちが小さい頃、こんなことしてなかったよね?」
と二人でこっそり。そんなわけで、笑いどころ満載のところも神様に失礼な気がしてそそくさと退散する。
菓子屋横丁では念願の食べ歩き。妹と話したのだが、私たちは小さい頃から母に
「立ち食い、食べ歩きはお行儀が悪い。デパートで出される試食は絶対ダメ!あんなに人混みの中、汚い空気が漂う中に置かれているものを口に入れるなんて、身体によくない」
と言われて育った。
「お祭りで買い食いしたかったよね」
と妹がつぶやいた。さすがに中高生になってからは友だち同士で楽しんだけれど。
でも、小さい頃からしみついたものって、なかなか離れず、私は大人になってからもデパ地下の試食には手を出さない。ただ、一緒にいる友人が
「beachanもどう?」
とつまようじに付いたそれを渡してくれたりするものを断ることはない。そんなに頑なな私ではない。
あんこ入りのクロワッサン、サツマイモのシュークリーム、コーヒー片手に食べましたよ。歩きながら食べるのって、開放感たっぷりでいい気分になる。
旧山崎家別邸では、ガイドさんの説明を聞きながら、じっくり見学した。途中、2人とも質問とかしちゃって、妹は
「いいところに気が付きましたね」
と言われていた。こんなところで少しだけ悔しくなるのは、姉だから?でも学生になった気分だった。
いい大人が、女子高校生のように楽しんだ2日間でした。