娘と露骨な話題で盛り上がる。その機会は娘の結婚後、ほとんどなくなった。独身の頃は2人でお出かけなどの際、他人チェックをする。

 

 すれ違う人の容姿からファッションなどなど。お店で売られているもののダメ出しまで。よそ様のことはすれ違いざまに言うのもはばかられて、

「チェック入ります」

とこっそり言っておく。言われた方は、すぐさまキョロリと目を光らせる。大体どの方のことなのかはわかる。少しして

「今の人、すごい美人だった」

とか

「イケメンじゃなかったけど、好みだわ」

とか。そしてさすがの母娘だからか、

「私も~」

となる。が、夫と婿殿、顔は似ても似つかないから、やっぱり恋愛と結婚は違うのだな。

 

 ファッションでも

「ちょっとあの格好はいつどこで購入したのか、すんごい肩パットどうした?」

「あのバッグ、めちゃくちゃ素敵だった」

とか。

 

 「目がとってもきれいだったのに鼻が残念だった」

なんて時もある。自分たちのことは思いっきり棚に上げて、ひどいもんだ。が、これ、申し訳ないけど面白い。

 

 常々、美人さんに大事なのは目だという私に対して、娘は口元と顎のラインだという。お互いにコンプレックス部分だ。私は年齢的なこともあり、奥二重の瞼垂れ下がり‥‥‥。娘は比較的目が大きい方だが、口が大きくて顎のラインがあいまい‥‥‥。

 

 が、娘は学生時代、花粉のこの時期、マスクをしていたら、サークルの男子の先輩に

「サッちゃん、○○(女優さん)に似ている」

「いよっ!マスク美人」

と言われたらしい。なんだか喜んでいいのかどうか?

 

 コロナ禍の最中、夫がテレビで映る一般人女性(インタビューやらスポーツ観戦中の映像)を見て

「今の人、美人だった」

とか

「かわいかったよね?」

という回数がやたらと増えた。みーんなマスクしていた。

 

 どうやら美人定義は娘説が勝利だな。目は、化粧で上手くごまかせるが、顎のラインと口元は、なかなかごまかしが難しいと聞いた。確かに。

 

 コロナが5類になってから、マスクは自由となった。

「マスクを外し始めるのは美人さんからだということに気づいたよ」

と言う娘。私はマスクしてます……。花粉の時期だからね。