「beachanの前世は奴隷ですから」

ある人にそんなことを言われた。

 

 自分の前世が何者だったかなんて想像した方いらっしゃるでしょうか?私は考えたこともなかった。だって、世界中に国はたくさんあるし、職業なんて数えきれない。あ、その前に性別はどうなの?性格はどんな人だったの?そうなったら、考えるのもばかばかしい。

 

 そしたらこれですよ。そうなると、自分の考えがだいぶ絞られてくる。「奴隷」と言われて、私はそんなにいやな気持にはならなかった。もともとそれを心から信じているわけでもないし。今は普通に生きていられるのだから。それなのになんだか不思議と、そこに寄せようとしている自分がいる。

 

 空想が拡がる。性別はどちらでもいい。自分は南アフリカからアメリカに渡った黒人奴隷だ。(申し訳ありません。この表現は今はNGですね。でも失礼します)


 私は普段から、自分のやるべきことだ、と思って動くことにしている。他人の動きにいちいち目を光らせない、とでも言おうか。

 

 さらに勝手に思う。私は黒人奴隷の中の1人で、周りには歌やダンスが上手な人がいっぱいいて、時々披露してくれる。今の私、ゴスペルが大好き、あの力強い歌声に感動する。「アメージンググレース」は私のお気に入り。ダンスも自分は下手だけれど、見ていてワクワクが止まらない。どうしたらあんなにリズミカルに踊れるの?

 

 バラク・オバマ氏が大好き。2009年、アフリカ系有色人種として初のアメリカ大統領となった。あ、オバマ氏がどんな政策を行ってきたのか、でなく単なるルックスと声だ。演説を最初に聞いた時にはその声と分かりやすそうな内容に魅かれた。

 

 私は勝利宣言スピーチ「Yes,we,can」に憧れ、全文を覚えることにした。お風呂につかりながら、何ヶ月も大声を張り上げていた。全くの丸暗記だったが「そう、私たちにはできる」って言葉が自分自身に向けられているようで勇気をもらえた。あっという間に忘れたけれど。

 

 世界大会のスポーツ選手の活躍もすごい。黒人のあの引き締まったお尻を見て、身体能力の高さを見て、陸上もサッカーも力が入る。

 

 「beachanの前世は奴隷ですから」

信じていないと言いながら、いくつかの自分の今が、そこにルーツがあるのかと妙に納得した私だった。