子ども達が小学生や中学生の頃、冬休みに書初めとして、硬筆、毛筆の宿題が出されていた。休み明けには校内展として全員の書初めが教室や廊下に貼り出され、さらに優秀作として選ばれた人は地域の展覧会に出品される。
ある年の冬休み、次男は一生懸命に練習していた。3~5枚の用紙が配られるが、自分が1番上手にかけたと思うものを1枚提出する決まりだった。練習するかしないかはその子の自由。1枚だけ書いてそれを提出してしまうチャッカリ者もいれば、ノルマをきっちりこなして提出する子もいる。中には別の紙や半紙にさらに練習する真面目な子もいた。
次男に向かって長男と長女が
「ワタル、そんなに練習しても無駄だよ。どうせ今年は選ばれないんだから」
「去年展覧会に出た人は今年はダメなんだよ。やるだけ損だよ」
と言った。そう、次男の書初めはその前年、学校代表として地域の書初展に出品されていた。私は思わず
「ちょっとォ、せっかくワタルが一生懸命にやってるんだから、そんなこと言わないでよ。2人もしっかり練習しなさい。選ばれるかどうかは問題じゃないでしょ!それに、今年も選ばれるかもしれないじゃない」
と言った。すると2人が
「だって、先生が『去年選ばれた人は今年は選ばれない』って言ったもん」
というのだ。
なるべく多くの子ども達にその機会を与えるという意味では理解できるのだが、それを子どもたちに伝えなくてもいい。ムッとした私は
「練習に無駄なんてない!損もない!」
と吐き捨てた。
さて、それでも頑張って練習した次男は見事代表に選ばれた。担任それぞれの考え方だと思うが、次男が
「2回続けて選ばれていいの?」
と先生に聞いたんだって。2年生の彼にとって、兄さん姉さんの言葉は絶対だ。すると先生は
「上手いものは上手い」
と言ってくださったんだって。なんと響のいい言葉だろう。次男がさらに大喜びしたことは言うまでもない。