風邪を引いた。夜、何回も目覚めて、「おかしいな?」と思っていた。案の定、朝、熱を測ると38.1度‥‥‥。テンション下がる。すっごく損した気分。
「やったー。今日は寝ていられるぞ」
って思えばいいのに、私は貧乏性かもしれない。
熱が1日で治まれば良いが……。まず、掃除は目をつぶったとしても洗濯はたまっていく。ご飯の支度もできない夫だから、食材を無駄にすることもある。元気になったあとに、いつも以上の家事が待っている。もちろん仕事も。こんなことに思いが及ぶわけです。
最近は、
「コンビニに行ってくるよ。食べたい物ある?飲み物は何にする?」
と夫が聞いてくれるようになった。それだけでもありがたいと思わなくちゃね。
その昔、小さかった頃、風邪をひいて熱を出すと、父が車で内科に連れて行ってくれた。我が家は商売を営んでいたので、その配達車に、パジャマのまま乗り込む。身体が重くて億劫だったなあ。
優しくて穏やかな眼鏡をかけた男の先生だった。聴診器を当てられ、お腹をやさしくポンポンとされ、口を開けてルゴール?だかを塗られる。「オエッ」ってなるから嫌いだった。最後にお尻に注射される。今思うとあれは解熱薬?今では注射なんて絶対にしないけれど。
あとは部屋でひたすら寝ている。お粥・おうどん・プリン・温めた牛乳が運ばれる。すりおろしりんごもよく登場したな。今のように電子レンジもなかったし、牛乳は鍋で温めたことだろう。ちょっとだけお砂糖が入っていた。それでも熱の間は起き上がる気力もなく、一口も食べられず、冷えてそのままになることもしばしば。牛乳には薄い膜が現れる。それらを両親が下げに来る。
「まだ熱下がらないんだね」
と言いながら、がっかりした父や母が去っていく様子がわかる。
湯たんぽを入れてもらったり、氷枕をしてもらったり‥‥‥。何度もおでこのタオルを取り換えてくれたっけ。今みたいにアイスノンなんていう便利なものはなかったからね。焼いた長ネギをガーゼでくるみ、首に巻き付けられたこともあったが、あれは効果があったのだろうか?
少し良くなり
「学校は今日はどんなだったかなあ?みんな、何して遊んだかなあ?」
なんて考える余裕が出てくる。けど、心の中はがっかり感・罪悪感でいっぱい。母が、当時流行っていた『小学〇年生』という雑誌を買ってきてくれる。付録もついていた。病気で学校を休むと本を買ってもらえる、それは唯一嬉しい出来事だった。
熱を出すとあの天井の木目調模様の中に目があって怖かった。翌日、元気になるとなぜか見えなかった。
久々の発熱にちょっとおセンチになったかな?