子どもたちが小さく、私が子育てに奮闘していた頃、『アドベントカレンダー』なんて見聞きしていたものの、それを楽しもうなんて余裕はなかった。購入するとなれば、それなりに金額はかかる。でなくても、年末は何かとお金が出ていく時期だ。
それなら、手作りすれば安上がりだろうが、そんな考えも及ばず。だって、私は手先が不器用だし、絵も下手、時間もない。何といっても毎日疲れている。子供を寝かしつけるために布団に入ったのに、自分が即爆睡だ。私、結構子どもを喜ばせたり、驚かせたりすることが好きだから、こういう作業は子どもが寝てからでないと、サプライズにはならない。
と、あれから30年近く経って、孫のためにアドベントカレンダーを作った。ネットでポチればすぐに届くが、孫が小さかったために、ほんの少しとはいえ、チョコレートや飴を毎日口にするのもどうかと思ったのだ。子ども用グミやらビスコやらボーロやら、個別包装のあの味のしない(大人にはおいしくない)1歳からのせんべいなど、を入れた。フェルトでできたクリスマスツリーに毎日違うオーナメントを飾り付けて、24日に出来上がる、なんて物を用意した年もあった。いや~、こんな私も孫のためならできるんだ‥‥‥。
ツリーはネットで購入![]()
よーく見ると私らしい雑さがわかりますが![]()
孫たちは結構覚えている。
「いつもさあ、おばあちゃんが何かお菓子の入ったのくれて、毎日1個づつ食べるんだよね」
なんて言われちゃったら、今年も用意しなくてはならないじゃないの!みんな大きくなってきたので、チョコも一粒なら毎日食べてもいいでしょう。今回は手抜きをして、市販のものを人数分渡しました。すると娘からこんな報告が‥‥‥。
子ども3人全員が12月を待たずして、ママの目を盗んで勝手に箱を横の部分から開けて中身を取り出してしまったと。プラ?容器で仕切られている、それを上手ーく引き出した。帰宅後のパパが怒ったらしい。
「毎日楽しみに開けていくものなんだよ。せっかくおばあちゃんが用意してくれたのに、それを待てずに、開けてしまうなんて!」
私も母親だったら、やっぱりカーッとしていたかもしれない。
ところがね、そのあと、それぞれが中味を入れ替え始めたらしい。そして、食べなかったんだって。一番下の子も3歳ながら、お兄ちゃんお姉ちゃんに諭されて我慢できた。そして、待望の12月1日には、箱のミシン目から開けて、それぞれ何が出てきたかで、盛り上がったそうな。そうだよね、市販のものをそのまま開けていたら、3人ともクマさんだか、星だか、サンタさんだか、の絵にくるまれたまったく同じモノが出てくるだけ。
1日1個を守れていること、毎日3人がそれぞれでサプライズになっていること、楽しめているんだと思ったら、それもアリじゃない?子どもの力ってすごいな、と思った。息子家族は、少しずつ年齢高めだし、毎日3人が同じものを口に入れていることだろう。
手作り作業の苦手な私が、何とか孫のために行動し、孫からは斬新な楽しさを教えてもらった。本来の「アドベントカレンダー」の意味合いとは異なるけれど。
孫は私の生活に豊かさを与え、想定外のアイディアを提供し、私の力の枠を拡げてくれる存在のようだ。

