私が子供の頃、母は、小学校の入学式や卒業式に着物を着ていた。母だけでなく多くのお母さんがお着物で、黒の羽織も着ていらした。
さらに、大事なお式の時だけでなく、父母会(いや~、これだって、時代を感じさせる。今は父母会じゃなくて保護者会だ)や普段のPTAの行事にもお着物姿のお母さんたちを見た。母も何回かそうしていたのを覚えている。今だったらちょっと驚く光景だ。
ある時母は、大島紬を身にまとい、PTA主催の教養講座に嬉々として出かけて行った。帰ってきた母は、大学ノートを見せながら、その内容を説明してくれた。ノートにぎっしりと講義の内容が書いてあった。漢字について、学んだようだった。
今ではちょっとお金を出せば、カルチャースクールや大学などで色々な講座をやってくれるし、地域の公民館でも手軽に楽しむことができる。それよりまず、今のママたちは、仕事をしている方が多く、自分の時間がないかもしれない。昭和の母たちにとっては、PTAは、数少ない外界との交流の場であったろう。
そこから20~30年、自身の子どもらが小学生の時は、PTA活動そのものに疑問を唱える人が増えた。委員や役員をかって出る人は少なかった。委員決めは大きな問題だった。お誘い文句は「勉強になる」「友達ができる」だが、どなたもなびかない。そんな機会は委員にならなくたって、世間にゴロゴロ転がっているのだ。それ以前に、お友だち関係が不得手で、作りたくない人もいらっしゃるだろうし。
委員決めの会では、一人一人引き受けられない理由発言が始まる。その雰囲気の悪さと言ったら思い出したくもない。その頃、その学校では一人の子供につき1回というのがお決まりだった。転校前にやったことがある、というのはカウントしてよいか?仕事は理由にならないが、寝たきり老人を抱えているのはどうなのか?
あるお母さまは
「2人目が欲しいので」
とおっしゃた。「妊娠中です。今年度、出産予定です」じゃないのよ。「これから妊娠する予定です……」って、そんな私的なことを暴露してまでもやりたくなかったんだ……。すると1人のママが
「途中で妊娠したら、誰かが代わるから、とりあえずやってもらいましょうよ」
だって。私、気の毒になっちゃって思わず
「私、やります」
って言っちゃったのよ。この何ともいえない空気に耐えられない。私はその時、もう既に経験済みだったけど。そしたら
「beachanさんはもうやっているんだから、例外をつくっちゃうと今後が困るでしょ?それはやめましょう」
とか言われちゃった。私は下を向くしかなかった。こういう時に
「今回だけ、できる人ができるときにやる、っていうことでどうでしょうか」
ってさらりと言えたらかっこいいのに、それができない。
そしたら、この前ブログで見つけました。ある方、恐る恐る足を踏み入れたら、「ありがとう」とみなさんに言ってもらえるのが嬉しくて、やって良かったとおっしゃっていた。そうか、そういう考え方あったのだ。自分の行動が周りの方から感謝されるって嬉しい。
でも今のPTA………、ちょっと気になってます。
