私が、小学校2年生の頃、お決まりの「スカートめくり」が流行った。掃除の時間になると、男子が箒の柄の部分で女子のスカートをめくる。箒を銃のように構えて、

「ダダダダ」

と言いながら、まず、どの子にするか狙いを定める。そして一気に素早くスカートをめくるのだ。1人の男子が1人の女子をターゲットにする時もあれば、大勢の男子が1人の女子のスカートをめくる時もある。

 

 「まったく男子はどうしてこうもくだらない事が好きなんだろう?そして戦いごっこが好きなんだろう?」

その頃の私はどちらも大嫌いだった。もちろん戦いは今でも。けんかでさえも嫌です。でも大人になって、くだらない事の良さはわかってきた。今では結構好きです。

 

 掃除は男女4人ぐらいずつの合計8人グループでやっていたと思う。最初はターゲットになっていた私も

「やだ~、やめて!」

とか対抗していたが、そのうちにいいことを思いついた。体育用ブルマーをスカートの下にはくのだ。当時のブルマーは「ちょうちんブルマー」と呼ばれ、裾が拡がっていたから、スカートも拡がって不格好になるけれど、そんなことは構わない。めくられたってへのカッパ!お好きにどうぞ。黄色い声を上げなくなった私に、男子もめくり甲斐(?)がないと思ったのか、狙われることもなくなった。

 

 一方ターゲットになった女子は、職員室に先生を呼びに行く。そして先生が登場し、

「コラ~ッ!男子、何やっとるか!」

と一喝する。しばらく先生も一緒に掃除をしつつ、男子の動向を見張っているが、職員室に戻ればまた同じことが繰り返される。

 

 「そんなことやっていないで、はやく掃除を終わらせようよ。女子が先生を呼びに行っている間、男子はさぼっているし、私1人が掃除しているんですけど~」

なぜか、私は他の女子にブルマーの提案をしなかったし、真似されることもなかった。今では感じる「何か」を当時の私もうっすらと感じていたようだ。

 

 ある時、「自分は損な役回りだなあ」と思っていることに気づいた。なんだかシュンとなる。けれども自分のやるべきこと、と思えば、他人がどう動こうと関係ない。そして、お天道様はそれを見ている。そう考えると、気持ちが楽になった。そしておひさまは、にこにこ笑っているかのように私を照らすのだ。

 

 その後、「天知る地知る我知る」という言葉があることを知った。

「そうだよそうだよ、これだよ。誰も気づかなくてもおひさまと大地と自分自身は知っているんだよ」

 

 そしたら、この言葉は五漢書に記されている言葉で、正式には「天知る地知る我知る子(し、と読むんだって)知る」といい、「悪事は必ずいつかは露見するものだ」という意味なんだって。最近知ったわ。長年勝手に解釈してきたけれど、自分では気に入っている。悪い事だけじゃなくて、良いこともすべて、いつだって天地の神々様は見ている。

 

 そういえば、私達が小さい頃、大人はよく

「お天道様が見ているよ。そんなことしちゃだめですよ」

って言ってたよね。今どきそんな怒り方、聞かないね。

 

 それにしても私、大人になって

「仏のbeachan」

って言われたことあったけど、10歳前にして悟りを開いたようなこの考え方……。ちょっと自分をほめていいですか~。