ある日、娘が私の実家に行ってくれた。ちょうど育休中で、子ども(ひ孫)を見せるため、そしてお惣菜を多めに作ったから持って行ってくれたそうな。私が言うのもなんだけど、祖父母孝行な娘に育ってくれました。
そこで娘が見たものは、おばあちゃんが電話口に向かって懸命に数字を叫んでいる姿。???……。のちの娘の話によると……。
「おばあちゃんが電話で大きな声を出して数字を言っているのよ。そして私が来たことに気づき、最後には『さっちゃん(娘のことをそのように呼んでいる)、ちょっとわからないから電話に出てくれる?』って言われて出てみたら、音声ガイダンスに従って電話のプッシュボタンを押すところを、おばあちゃんは電話口に向かって懸命に数字を叫んでいたんだよ」
その姿を想像して、私は娘と笑っちゃったよ。何に苦戦していたのかと言えば、ヤマトさんの宅配便の再配達をお願いしようとしていたらしい。
母は、年相応に物忘れはあるものの、シルバーカーを押して買い物もするし、料理は得意だし(それなりに)、手紙も書いたりする。でも80後半になるとこんなかしら?
先日も不在票が届いてしまい、たまたま私がいたので操作した。終わったとたん母は
「beachan、今、ひとっ言もしゃべっていなかったけれど、それでできているの?」
と半分私を疑っている。確かに!電話ってしゃべるものだものね。
こんなんではワクチンの予約だってできないし、防災マップだって見られない。真面目な母は、マイナンバーカードを早々に作ったけれど、なぁんにも使っていない。そもそも母は携帯、スマホ、パソコンの類は一切使用したことがありません。
さて、私があと20年生きることが出来たら、その時どんな世の中になっているのだろうか。私はそれにどこまで対応できるのだろうか?