衣替えのタイミング

 私が「衣替え」を1番意識したのは中学生時代。制服だったから。それまでは、そんな言葉も知らなかったと思う。母が、これを着て行きなさい、みたいな感じで毎日過ごしていたわ。

 

 母校の女子制服、当時はジャンパースカートにブレザーが冬服、夏はつりスカートだった。「つりスカート」なんて、現在見ないわねぇ。小さい女の子さん達のピアノの発表会やら、お受験用の姿で見るくらい?私世代以上じゃないとわからないかも。ま、スカートに共布でボタンで取り外せる2~3センチ巾のサスペンダーがついたような感じ。そして、衣替えの日付は6月1日と10月1日という具合に明確にされていた。だから、うっかりした時はみんなと違う格好をしていてちょっと気恥しい。

 

 ジャンパースカートはその頃としてはかわいらしいデザインで人気だった。逆に夏服は下着が透けて見えたりして、男子の視線も気になり、女子は嫌がっていた。13歳なんてちょうど、ブラをつけるかつけないかって時期だしね。今はもっと早いでしょうけれど。そして、あのつり紐が、悩ましい。小さい女の子にはラインがまっすぐでかわいらしいんだけど、中学生はバスト部分で曲線を描くことになる。その曲線が、バストサイズを公表しているようで、恥ずかしいったらありゃしない。

 

 上級生は夏でもジャンパースカート姿だったが(もちろんブレザーは着ません)、1年生はそれが許されないような雰囲気があった。先輩が羨ましかった。2年生になると、スカートのサスペンダー部分を外して着たりしていた。やっぱりあのつり紐が問題なのよ。おしゃれ感もゼロだし。3年生になり、堂々と夏にジャンパースカートで登校する私に、母は

「せっかく買った制服をどうして着ないの?それに冬服は暑いじゃないの!」

と言っていたけれど、黙って家を出ていたっけ。今思うと、学校もそれほど厳しくなかったのね。

 

 その点男子はいいよね。学ランだったんだけど、夏冬そんなに大きな違いもなく、上着を脱げば、シャツが半袖か長袖か、くらいの違いだ。もちろん生地は違うが、ズボンなんて見た目は同じようなもの。でも私にとっては、男子の半袖がなんかダサかった(「ダサい」って、ちょっと昔の言葉ね。今はなんて言うの?)。憧れの先輩が夏に長袖のシャツの袖をまくり上げ、真っ黒に日焼けした腕を見せている姿、かっこよかったなあ。

 

 さて、現在の私、ズボラな私としては、クローゼットと箪笥、夫婦それぞれに夏冬一年中の洋服が納められていている。ちょっと寒い、とか、暑い、とかその日に合わせてすぐに取り出せるし。子どもが小さい頃は衣類の数も多くて、季節の変わり目にやっぱりすべて出し入れして処分したり、来年用に保管したり……。あのプラスチックの大きな収納ボックス、ずいぶん世話になったわ。よくやってきた自分!

 

 最近は夏がすごく暑くなって、その期間もとても長くなり、秋が短くなっているようだ。だから、6月1日、10月1日、なんてやってられない。

 

 「衣替え」は着物に由来しているのかな?今でも着物のそのしきたりは厳しい。洋服の「衣替え」のタイミングは私にとっては曖昧となりつつある。日本が誇れる「四季」が気候変動で崩れてきていつか「三季」「二季」になっちゃうのかな?冬服や夏服はあっても、はっきりした「衣替えのタイミング」はなくなりそうだし、「衣替え」っていう言葉そのものが死語になるかもしれない。

 

 何か日本文化が一つ減るようでさみしい。「衣替え」を面倒くさいという私にそんな偉そうなこと言う資格はないか……。

 

 

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