50代に突入したころから、健診結果で「コレステロールが高い」とか「血圧高め」など、経過観察がぼちぼち増えてきてはいたものの、なんとかこらえていた。が、還暦と共についに眼底検査で「要精密検査」がやってきてしまった。

 

 眼科での検査の結果、私は『緑内障』と診断された。眼圧は正常で、家族内に患っている人間もいないが、念のためにやった視野検査で、既に一部が欠損していた。白内障は手術で治るけれど、緑内障は怖いらしい。一旦なってしまったら、治ることはなく、いかに症状を食い止めるか、しかないそうだ。放っておいたら失明だってある。そっかぁ……。でも落ち込んでいたってしょうがない。ここで見つかったことはラッキーととらえよう。

 

 そしたら、何と私の周りに緑内障患者さんの多いことか!最近の飲み会での話題で必ずあがるのが病気のこと。ところが皆さんポジティブです。

「今後、薬もドンドンいいのが出てくるだろうし、山中先生(ノーベル医学生理学賞を受賞なさった先生です)にも期待できる」

「もう、僕なんて40代の頃からだから皆さんの大先輩だよ」

そこで私も言ってみた。

「そうそう、付き合いもあと20年だしね」

そしたら

「えっ?beachan、そんなに長生きする気でいるの?」

って言われちゃった。私にも女性の平均寿命くらいは希望をもたせてくださいよ。

 

 先日、定期的な通院で眼科に行った。いつも通りの検査の中、写真を撮るために顎を台の上に乗せた。若い男性技師さんに

「目を大きく開いてくださいね」

と言われたものの、あれっ?どこに力を入れればいいんだっけ?目を大きく開くってどうしたっけ?と一瞬わからなくなった。次の瞬間

「失礼しますね」

と彼に瞼を親指でグッと引っ張り上げられた。『緑内障』のレッテルを貼られた時より、ある意味ショックだったかも……。