電話が鳴った。携帯電話が普及した今、家電など大体が何かの勧誘かアンケートだ。案の定、

「O生命の○○と申します。アンケートにお答えいただきたいのですが、少しお時間よろしいでしょうか?」

 

 いつもなら即座にお断りするところだが、この日は違った。時間があって一人のんびりしていた。相手が若い男性であったことも大きな理由だ。我が子は同世代だ(と思う)。長男には職場で頑張ってほしいし、次男に至ってはあまり芳しくない就職活動の真っ最中だ。我が子の姿とダブり、応援の意味も込めて

「いいですよ」

と相手に見えない笑顔まで作った。すると彼の次の言葉が

「大変お声の調子がお若いですが、50代の方ですか?」

『そのまま』である。そこは、30代、せめて40代と言ってほしかった。欲張りすぎ?

(そう、これは私が50代のできごと、思い出です)

 

 テンションは下がったけれど、大人の私はアンケートに答えていきました。2、3の質問に答えたところで、インターフォンが鳴り、電話を切らせてもらいました。

 

 ところが、その1週間後、再び同じ男性から電話があった。驚くべきことに

「大変お声の調子がお若いですが、50代の方ですか?」

の件から始まり、1から質問が繰り返されたのだ。

 

 O生命と言ったら誰もが知っている大きな企業。アルバイトさんなの?マニュアルなの?そこは臨機応変に対応してほしかった。私、電話の後、笑っちゃったよ。

「私はやっぱり取り繕いようのない50代なんだ……」

 

 O生命さん、うちの息子を採用してよ。もう少し何とかできると思うのは親バカでしょうか?