私は直感とかとっさの行動とかが非常に弱い。予期せぬことが起こるとパニックになる。だからなのか、前もって、そういう時はどうする、こういうことになったらどうしよう、いろんな場面を想定して考えることが多い。考えすぎて疲れちゃうときもある。ぐるぐる考えて、結局最初の答えに行きつくなんてこともしょっちゅう。逆に答えを出せないこともしばしば。
仕事でしくじったことはいろいろあるけど、せっかくだから面白い方の経験を披露します。
大学のゼミ合宿最終日前夜、お決まりの「打ち上げ」があった。けど、そこはさすがにサークルなどとは違って、教授も参加していらしたから、少量のお酒とゲーム、などのおとなしい会だった。
誰かの発案で『山手線ゲーム』が始まった。ご存知の通り、全員が輪になって
「古今東西山手線の駅の名前!」
で始まり、一定のリズムで一人ずつ答えていく。テンポが悪かったり、答えられなかったりした人がアウト!その時はアウトが3つになったら何か罰ゲームが待っている、というルールだった。
間違えた人が次のお題を考える。
「古今東西~」
と全員が声を合わせ「都道府県」だの「朝ドラのタイトル」とか「花の名前」だのと出題される。
ほらほら、これですよ。私の苦手なもの。考えていた答えを直前でほかの人が言っちゃうと、私はもう、どうしようもなくなる。いろいろ用意しておいた答えも一瞬で飛んでしまう。答えの合間に入るテンポの揃った全員の大きな2回の拍手も私を慌てさせる。私はあっという間にアウトが2つとなった。ただの遊びなのにこれなんです。気楽にやればいいのに、って自分で後から突っ込む。
少し慣れてきたころ、誰かが「鳥の名前」と言った。「カラス」や「スズメ」じゃない何か……。私は「ウミネコ」を思いついた。ネコが付きながらも鳥とは、さすがに誰も思いつくまい。もしかしたら皆から感嘆の声が上がるかもしれない。誰からも「ウミネコ」が答えられることなく私の番が回ってきた。
ところが、アウト2つの私が何かやらかしてくれるのではないかという、周りの目を一身に集めていたことが災いしたのか、私は大声で叫んだ。
「ヤマネコ!」
と。
「beachanさん、ヤマネコはどこから見ても獣の仲間です。アウト!」
教授の声が響いた。今から40年以上前、流行っていた「セミの物まね」をさせられ、柱にしがみついて
「み~ん、み~ん」
と鳴いた私だった。
