私たち姉弟妹が小学生の頃、平日の夜8時には布団に入るように母に言われていた。だから土曜の夜の『8時だよ全員集合』からの『キーハンター』は楽しかった。夜更かしできる日だった。
けれど、それ以上に私がハマっていたのが『アップダウンクイズ』です。それは
「ロート、ロート、ロート♩ロート、ロート、ロート~♩ロートせ~や~く~♩」
という音楽で始まるロート製薬提供のクイズ番組で、日曜のゴールデンタイムにやっていた。
5~6人?の一般人が参加し、早押しクイズに答えるのだ。横一直線に並んだ一人一人のゴンドラに入って、正解すると1段ずつそのゴンドラが上がる。10問正解すると、ハワイ旅行と賞金10万円が待っている。ところが、間違えると一気に一番下まで下がる。ペナルティとかもあって、そのゴンドラから出されて、はじっこの椅子に座って?、再度ゴンドラに入れるのを待つ(何かルールがあったな)。参加者の順位が、その時々で一目でわかるところが良かった。
10問正解した人には、昔の飛行機のタラップみたいなものが用意される。奇麗なお姉さんがレイを持ってタラップをあがり、その人の首にかける。そして、階段を下りてくる。誇らしいだろうな。
子供の私にとってはゴンドラが遊園地の乗り物のようで乗ってみたかった。10段の高さから見る景色はどんなだろう?そして、正解して上がる時にはガッタン、ガッタンと一段ずつ上がるのに対して、間違ってしまい、下がる時には、スーッと流れるように一番下まで落ちてゆく。子どもながらに、世の中を見ているようだった。一生懸命努力して一段一段のぼり、あと一段というところで失敗すれば、容赦なくバツが待っている。時には、ゴンドラすら乗れない、いわば、参戦すらできないペナルティー席もあるのだ。
出場者の真剣な目や、正解して上る時の嬉しそうな顔、9段目まで上ったのに、間違えて下がっていく悔しそうな顔、ペナルティエリアにいた人がゴンドラに戻った時の「さあ、ここから挽回するぞ」という意気込みの表情などを見ながら、自分も一緒にハラハラドキドキした。
そして、ハワイって、外国って、どんなところなのかな?って思いながら、毎週楽しみに見ていたな。昭和40年代の頃のことでした。
