今の学生さんたちの中で紙の辞書を使っている人はどれくらいいるのだろう?ほとんどが電子辞書なのかなあ?
半世紀も前の話です。私は中学3年生になり、友達と英語の辞書を買いに行くことになった。それまで持っていた1冊目は、中学入学のお祝いに、といただいたもので、初めて英語に触れる子ども用といった感じでイラストも多く、文字も大きかった。受験生にもなり、友達とちょっと高度な2冊目の辞書を手にしたくなったのだ。
彼女にはお姉さんがいた。私は第一子だったから、とても羨ましかった。なんとなく両親や先生を疎ましく思う年頃、私も例外ではなかった。
「親の言うことは聞かないのに、部活の先輩の言うことは聞くんですよ」
なんて言葉、大人たちがよく口にしてたわ。私はそこまで反抗的ではなかったと思うけれど、親や先生以外のちょっと年上の人に知恵をもらって行動するって、テンションが上がった。それが大正解かどうかは分からないが、
「goとかhaveとか、知っている簡単な動詞の単語を引いて、たくさん例文が載っているのがいいと思うよ」
私たちはお姉さんのアドバイスに従って、一冊の辞書を選んだ。
今は、子ども自身が本屋に行って学習参考書や辞書を選ぶことってあるのかなあ?
私自身の子供たちの頃も既に中学生になればほとんどの子が学習塾に行き、そこで
「これをやりなさい」
って言われる。なんだか、本屋さんで選ぶ時間があったら、英単語の10個も覚えた方がよほどためになる、って言われている感じ。
「英語の辞書は○○出版の△△を購入してください」
なんて指定されて。そして、挙句の果てには、子どもに買いに行かせずに、どうかすると母親が買ってきちゃったりする。(それは私です)
私が小さい頃より、はるかに便利で情報があふれている今……。それらは、簡単にPCやスマホで手に入れることができる。調べなくても勝手に入ってくると言ってもいいかもしれない。そして、情報だけでなく、ネットで現物購入もできるんだもの。でも「子供の成長」という観点からみると、昔の方が良いことがたくさんあった気がする。自分たちで考えて選択したり、行動したりする。「昔は良かった」というようになったら、それは年をとったということらしい……。